産官学で交通事故削減を目指す!! [沖縄ゆいまーるプロジェクト]って何?
■2019年の池袋暴走事故をきっかけに交通安全対策を強化
トヨタ・モビリティ基金はトヨタ自動車が設立した一般財団法人で移動に関わる国内外のさまざまな社会課題の解決を目指し、資金援助を行っている。その活動の柱の一つが交通安全の取り組みと渋滞対策で、特に交通安全については2019年4月に池袋で起きた痛ましい暴走事故をきっかけに対策を強化してきた経緯がある。 2021年12月矢崎総業が開発したデジタルタコグラフ機能を用いた車載アプリ「スマイルくん」をトヨタレンタリース沖縄の車両に搭載。直近5分前までの運転診断をかわいいイラストでドライバーや同乗者に知らせるとともに、事故多発地点が近づくと注意喚起の画面と音声で警告する仕組みとした。 また、速度超過や急加速、急ブレーキといった運転挙動を総合判定し、A、B、Cのランク付けを行い、Aの優良ドライバーには車両返却時に抽選でANAやJALの航空券や那覇空港のショップで使える商品券がもらえるサービスによって、安全運転の意識付けを行うことにした。 2022年にはトヨタ自動車のTコネクト搭載車両2700台のデータを加えることで、多くの危険個所の追加が可能となった。さらに、「スマイルくん」の多言語化も図られ、英語、韓国語、中国語といった言語でも表示されることになった。 この効果は予想以上に大きく、事故発生件数は日本人で約38%、外国人で約55%も減った。さらに急加速の頻度は日本人で約64%、外国人で約48%も減り、急ブレーキも日本人で約55%、外国人で約23減と顕著な効果となって表れたのだ。 また渋滞対策も行われた。琉球大学の神谷大介准教授、東京大学の福田大輔教授による車両の行動データ分析と多くの観光情報を持つJTBの協力を得て車載アプリから新たな観光情報を提供することで、レンタカーユーザーの行動変容を促し、分散周遊につなげるというものだ。 具体的には観光客の多くが向かう沖縄本島北部の沖縄美ら海水族館へは海沿いの道を行くのが一般的だが、内陸側にあるおいしいコーヒーショップなどおすすめスポットを「スマイルくん」がレコメンドすることで、う回路を選べるようにするものだ。 この観光レコメンドによって約18%のレンタカーが行動変容につながったというデータがあり、一定の成果があったことがわかる。