大野真依“日本一美しいドラマー”ができるまで「ハイエース一台で8ヶ月かけて全国行脚」
はきみとバンドのためになりふり構わず走る
──ハイエース一台に乗り込み、約8ヶ月かけて全国のライブハウスを渡り歩いたツアーですね。 大野 このツアーはコロナ禍の中だったので、動員人数を制限して、その代わり1日に2、3ステージの開催だったんです。体力的にしんどく、同じ内容のライブを三回も見せられないからとMC内容と見せ方を毎公演変え続けて、それがもうとにかく大変でした。 けど、このツアー中、どれだけ失敗しても演奏に感情を乗せて届けることだけは忘れないようにしようという、「ガムシャラにやること」を守るようになって。それを意識し始めたら、ファンの方の盛り上がりが強くなっていったんです。大きく成長できましたし「ガムシャラにやること」は今ではきみとバンドの“らしさ”になりました。 あと一つは、一昨年夏に開催したZepp Hanedaのワンマンです。今までで一番大きな会場だったのにチケットも完売して。本番当日、客席にいるたくさんの方が目に入ってきたときは続けてきてよかったと思えたし、「頑張ればさらに上へ行ける、夢の武道館も遠くない」とギラギラした気持ちになれました。私たちのターニングポイントです。 ──きみとバンドは、その夢である日本武道館ワンマン実現と同じく、インディーズガールズバンド史上初のZepp全国5大都市ツアー開催も目標としています。夢の舞台に向かって、どのように歩んでいきたいですか? 大野 バンドとして結成4年が経ちました。私からすると「もう4年!?」と思うくらいゆっくりした歩みです。でも色々チャンスはいただいてきて、Zepp Hanedaのワンマンライブがそれを最高の形で活かせた瞬間。ただ、それ以降の活動では同じような結果を残してきたとは思えなくて。もしZepp全国ツアーを開催することが出来たら、きみとバンドが続いていくかどうか最後のチャンス、くらいに思っている……と私が言っちゃっていいのか(苦笑)。 ──もし今後Zepp5大都市ツアーを開催する事があれば、それだけの覚悟で臨むと。 大野 はい。今までにない焦りがありますが、綺麗な結果じゃなくてもいいのでとにかく成功させたい。今までは個々の活動で注目されると、「その仕事でファン増やすのってバンドとしていいの?」という声があったんです。少し前ならすごく気にしていた反応ですが、今はきみとバンドのために、なりふり構わず走らないと。 そのために今は私がバンドを引っ張っていくべきだと思っています。それぞれにチャンスをいただいてきた中、今チャンスをたくさんいただいている私が引っ張って繋げていける立場にいないといけない。この気持ちと勢いを絶やさないようにして全員で武道館に辿り着きたいですね。 (取材・文/田口俊輔)
田口 俊輔