貯蓄「1000万円」には手を付けず、年金のみで暮らす予定です。なるべく多くの財産を孫に残すにはどうすればよいでしょうか?
孫のためにお金を残したいと考えてはいるものの、実際にお金を渡す際の税金について気になっている方も多いでしょう。 親族であれ、自分の財産を他人に渡す場合は、贈与税がかかります。しかし、贈与する金額や目的によっては、贈与税がかからないケースもあるようです。 今回は、50代以上の平均貯蓄額や贈与税の内容、少しでも税負担を減らすための対策について解説します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
50代以上の金融資産の平均額
金融広報中央委員会が令和5年(2023年)に行った家計の金融行動に関する世論調査によると、50代~70代の金融資産の平均額は、表1の通りです。 表1
※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」を基に筆者作成 年代により金融資産額にばらつきはありますが、どの年代でも1000万円以上の金融資産があることが分かります。
定年退職後は年金だけで生活できるのか?
次は、毎月の年金だけで生活費を賄えるのかを見てみましょう。 総務省統計局の「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における平均支出は28万2497円となっています。 年金を含む社会保障給付額の平均は21万8441円で、毎月6万4056円の不足金が発生する計算になるため、年金だけでの生活は難しいと考えられます。 その不足分を1000万円の貯蓄で補うこともできますが、もし将来的に孫にお金を残したいと考えているのであれば、あまり貯蓄に手をつけずに不足分を賄う方法を考えましょう。 例えば、毎月の支出を見直して節約を心がけ、定年後も再雇用やアルバイトなどで収入を得られれば、貯蓄1000万円を維持しつつ、生活を送れる可能性があります。
孫へ貯蓄1000万円の財産を残すには贈与税がかかる
もし、孫に1000万円の財産を渡す場合は、財産を渡す側ではなく財産を受け取った側に贈与税が課せられます。贈与税は、暦年課税と相続時精算課税の2つから選択可能です。それぞれの特徴を表2にまとめました。 表2