星野真里×加藤ローサ『きみ継ぐ』 原作者とドラマ側で合致した思い、女性同士の恋と親子愛に「少し前は断られることも多かった」
■ドラマ制作側とも意見が合致、「生きづらさを抱えている人に寄り添いたい」
──たしかにドラマやコミックには時代が映し出されますね。 【小川まるに】それともう1つ、これは国内のドキュメンタリーなんですが、お互い子連れでパートナーになった女性同士のカップルのエピソードを見まして、お子さんたちがごく自然に“2人のママ”の関係を受け入れていることに感銘を受けたんです。これからの時代の家族のあり方というか、親のセクシャリティも含めて親子で会話できるような未来を想像できたのが、本作を描きたいと思ったきっかけでした。 ──本作でも、桜の一人息子である高校生の透輝くんは、母親の性志向をごく自然に受け入れている。こうした価値観の世代がこれからの世界を作っていくんだなという希望が感じられました。 【小川まるに】一方で、アラフォーの桜や萌音は自分のことなのに戸惑いもあって。自分のセクシャリティに悩んでいる方も、まだまだ多い世の中なのかなと思います。またセクシャリティだけじゃなく、生きていく上で自分はマイノリティ派だからと生きづらさを感じている方は世代関係なくいると思っていて…。ドラマ制作者さん側からは、「生きづらさを抱えている人に寄り添いながら、誰かを好きになることの素晴らしさが伝わるドラマにしたい」とおっしゃっていただきました。私も同じことを考えながら描いてきたので、きちんと意図を汲んでくださったことを本当にありがたく思っています。 ──実写化にあたって、先生のほうからドラマ制作サイドに「ここは大切にしてほしい」とお話ししたことはありましたか? 【小川まるに】わりと早い段階で脚本を見せていただいて、原作を理解してくださっていることがわかったので、特にすり合わせする必要はなかったです。ドラマオリジナルの要素もありましたが、キャラクターについてしっかりと掘り下げてくださっていたので、そこはドラマでどう描いてくださるか楽しみにしています。しいて言えば、このお話はラブストーリーの要素もありつつ、家族の物語でもあるので、どちらかに比重が寄りすぎないようにとはお願いしました。