『医療2024年問題』 地域医療に大打撃 医療費にも“値上げの波”
6月1日から医療費が値上げされます。今回の値上げの背景にあるのが、医師の働き方改革に伴う『医療の2024年問題』です。 【写真】医療費節約に『リフィル処方箋』
■医師の働き方改革スタート 地域医療に影響も
医師の働き方改革です。4月から、時間外労働が原則として年960時間、ひと月あたり80時間までとなりました。これまで上限はありませんでした。それでもこの時間外労働ひと月80時間というのは過労死ラインです。対象は大学病院、公立病院、民間病院などで働く勤務医で、違反すれば病院に罰則が科されます。物流や建設などの業界と同じように、こうした働き方改革によって起こる様々な課題が、医療の2024年問題と呼ばれています。 こうした働き方改革の影響、一つ目は、外来診療の一部休診です。岐阜県の市立恵那病院は、4月から土曜の外来診療を休診しています。これまで、土曜日は午前のみ外来診療をしていました。 市立恵那病院 担当者 「医師の労働時間短縮のため、土曜の外来診療の患者約90人を平日に振り分けることで対応する」 働き方改革の影響、二つ目は、地方の医師不足です。これまでは大学病院が地域の病院に勤務医を派遣することで地域医療を支えてきましたが、派遣医師を引きあげる動きがあり、その結果地方で医師不足が進みます。 医師不足によって救急車を断ることもあるといいます。 茨城県の病院勤務 30代の内科医 「救急対応で小児科や産婦人科などの医師が不足し、救急車を断ることもあった。勤務医の不足は深刻。地域全体で対応を考えていく必要がある」 ほかにも、宮城県の石巻市立牡鹿病院では4月から一時、入院患者の受け入れを休止し、入院患者を別の病院に転院させました。大学病院などの医療機関が、医師を派遣できなくなったためです。ただその後、応援の医師確保の見通しが立ち、5月7日から入院の受け入れを再開したということです。 石巻市立牡鹿病院 阿部病院長 「入院の受け入れは再開できたが、医師の確保が厳しい状況は変わらず綱渡りのような状態。全国的に医師が不足している中で都市部と地方の格差が非常に大きくなっている」