内藤剛志が絶滅危惧種の堅物刑事を演じるドラマ「今野敏サスペンス 警視庁強行犯係・樋口顕 Season2」
刑事ドラマのスペシャリストと形容される内藤剛志が主人公を演じ、スペシャルドラマから2021年に連ドラ化。その続編となるのが「今野敏サスペンス 警視庁強行犯係・樋口顕Season2」だ。捜査一課強行犯係の樋口は、不器用ながら曲がったことが嫌いで真実を明らかにするために努力を惜しまない粘り強い刑事。家に帰ると妻の恵子(川上麻衣子)と娘の照美(逢沢りな)に頭が上がらないのも微笑ましく、内藤自身、公式のインタビューで「普通に町ですれ違っても覚えていないような普通の人。そんな人が頑張って、いつもどこかに潜んでて事件を解決するような話です」と語っている。 【写真を見る】竹刀を構える樋口(内藤剛志) 本作には樋口の盟友で生活安全部の氏家(佐野史郎)、頼もしい上司の天童(榎木孝明)、部下で巡査長の藤本(片山萌美)、巡査でムードメーカーの菊池(佐野岳)、樋口の娘がリスペクトしている新聞記者の遠藤(矢田亜希子)などレギュラー陣に加え、イケメン法医学者、御子柴として竹財輝之助が新たに出演。事件現場に樋口たちが入ろうとすると「来ないで!」とキッパリ拒否する強烈なキャラクター、鑑識の辰見(遼河ハルヒ)もゲストで登場し、滅多に平常心を崩さない樋口が1週間の自宅謹慎を命じられ、意外な顔を見せる回では視聴者をハラハラさせる。「私は刑事です」という樋口の決まり文句はどうなる?本シーズンでも内藤の人間くさい演技が魅力的だ。 ■完璧主義者の鑑識に樋口が"絶滅危惧種"呼ばわりされる回も 「どんな小さな情報も見逃すな。必ず、どこかに手がかりはあるはずだ」が長年、刑事を続けてきた樋口の信条。第1話ではフリージャーナリストが殺害されたことで20年前に起きた殺人事件が再浮上する中、樋口は殺害現場の状況など細部にこだわり、粘り強い捜査で複雑な事件に絡む人間の心理も見抜いていく。そしてDIYクリエイターとしてYouTubeでも人気の生駒(篠田麻里子)と相棒の林(小林涼子)が事件に巻き込まれる回では"微物の辰見"という異名をとる鑑識が、作業中の現場への立ち入りを拒否。犯人の手がかりである確かな物証を提出し、樋口は証拠が揃いすぎていると首をかしげるも、辰見に刑事のカンを頼りに捜査をするのは絶滅危惧種だと言い返されてしまう。妻とネットメディアで働いている娘に加えて、職場でも強気の女性が登場する樋口。その対決(?)の行方にも注目だ。 ■自宅謹慎を命じられた樋口。内藤の揺れ動く心理を表現した演技に注目 Season2では妻の恵子が所属するコーラスグループがリハーサルする会場で事件が起こる回もあり、いろいろ波乱万丈。中でも樋口が最も追い込まれるのは野球部の高校生が荒川で亡くなった事件だ。千住警察署は自殺だと断定するが両親は息子の首に傷があったことから他殺を主張。話を聞いた樋口と藤本も状況に疑問を抱き、野球部の顧問や部員に聞き込みをすることになる。しかし、管轄外ということもあり、樋口は上層部に注意勧告され、"秩序より大事なのは真実を明らかにすること"と主張するものの自宅謹慎処分に。貫いてきた信条がぐらつく心理を表現する演技が印象的だ。そして、樋口が精彩を欠いていることをすぐに見抜くのがSeason1に登場した衆議院議員の秋葉(吉田栄作)。難事件を解決しながらも、新たな気づきに再び、歩んでいこうとする内藤の深みのある演技が温かく滲みてくる。 文=山本弘子
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