【日本ハム】来季40歳を迎える宮西尚生 現役続行を決めた理由とは~中継ぎの流儀2024「勇往邁進」
日本ハム・宮西尚生投手(39)が29日、40歳を迎える来季への思いを赤裸々につづった。自ら記す連載「勇往邁進(ゆうおうまいしん)」は、今回が2024年シーズン最終回。今季開幕前に「引退」を覚悟していたことや、吉村浩チーム統轄本部長(60)との秘話、プロ17年目にして出会った「成長」とは―。スポーツ報知に初激白した。 **** 来季もファイターズでプレーさせていただくことになりました。来年40歳を迎えますが“節目”という感覚は全くないです。一年勝負の気概で長年戦ってきて、ベストパフォーマンスを出せなくなったら辞め時だと分かっています。シーズン後は2週間ほどゆっくりして、今月からまた来季に向けて動き出しました。 現役続行や契約を結ぶかどうかなど、球団とはシーズン中に一度も話をしていませんでした。吉村さんから声をかけていただいたのは、CSで敗退した日(10月18日・ソフトバンク戦)でした。試合後、サロンに飲み物を取りに行った時にたまたまお会いして「来年は絶対、優勝しよう」と。この一言が、吉村さんなりの、あえての表現の仕方だとすぐに分かりました。戦っている時は余計な気を使わなくていい、今は野球だけに集中してくれ―。そういう心使いがあったからこそ、終わるまで何も言われなかったんだなと。「まだ必要だ」と伝わるような、優勝しようの一言がうれしかったです。 2014年にFA権を取った時から、吉村さんとはずっと一対一で交渉をさせていただいています。他の球団幹部や代理人もその場にはいません。約10年間続いてきた、年に一回のその話し合いの場が自分にとっては楽しみです。その際に毎回言ってくださるのが「本当にリスペクトしている。納得いくまでやってくれ」という言葉です。思い出深いのは15年、自分が主将になった時。2人きりで話をする中で「来年キャプテンは誰がやるんですか?」と何げなく聞くと「やってみる?」。「いやいやいや…」と返したのですが、気付いたらキャプテンになっていました(笑)。選手ファーストで、野球への思い、ファイターズを強くしようという思いをものすごく感じる熱い方、それが吉村本部長です。 実は今年、春のキャンプが終わった時点で「けじめをつけて今年で辞めよう」と思っていました。開幕は2軍。新球のチェンジアップに挑戦できたのも「野球人生、最後やから、遊び心を持ってやろう。何か一つでもモノにして辞めよう」と思ったからです。純粋に野球を楽しんだのもそう。今までずっと真正面から見ていた野球を、少し角度を変えて斜めから見てみようと。投球スタイルから野球への考え方まで一掃したことで、違う自分と出会えました。それが面白かった。 「成長してるな」と実感できたのは、プロ1、2年目の時以来です。先輩に囲まれながら好きなように投げ、日に日に成長を感じていたあの時に近い。僕は4、5年目から一人で勝手に重圧や責任を背負いこんでしまいました。その“重荷”を全部外せたのが今年でした。ここ数年、思いと結果が一致せずもがいてきました。新庄監督からの「頑張るとかはいらんから楽しめ」の言葉、それを体現できたのが17年目での成長です。 今年もたくさんのご声援、そしてスポーツ報知でのコラムを読んでいただき、ありがとうございました。チームも自分も、今年はいい戦いができたと思います。それでも最後は、日本一へのもう一歩が届かなかった。来年は今年のCSの時ぐらいのしびれる試合、球場と選手が一体となったあの感覚を毎試合味わいたい。皆さんと共に、戦っていきたいです。来年もよろしくお願いします。 (宮西 尚生)
報知新聞社