TikTokでペットのミニ牛自慢が流行中、その理由とは?
ちょっと想像してみてほしい。リビングルームにいて、のんきに歩き回る......ミニ牛の姿を。これは夢じゃない。TikTokで流行していることだ。しばらく前からミニチュア牛の動画が飼い主の手で次々と投稿されている。しかもごく普通のペットのように室内にいる。愛らしい表情の動物ながら、ミニ牛は本来、屋内で飼う動物ではない。投稿するユーザーの態度も問われるべきだが、もともと屋外暮らしの動物への影響も気になるところだ。 【動画】TikTokにアップされた、「ペット」化されたミニ牛たち
なぜミニ牛?
最初牛の動画を目にした時には驚いても、少し経てば、これはTikTokでおなじみの、なんでもありの風潮のひとつだな、とわかってくる。ミニチュア牛の品種は複数ある。ハイランド・キャトル(ハイランド牛)はスコットランドのハイランド地方原産だ。ミニチュア・アンガスもスコットランド原産の牛。他にもスリランカ原産のミニチュア・ゼブ、スウェーデン原産のパルショなどがある。ブリーダーは主にアメリカで、最近ではフランスのノルマンディー地方にもいる。いずれも大きさは最大1メートル、体重は100キロから130キロで、10,000ドルから12,000ドルで取引される。いくら小さくても家畜であることに変わりはなく、ソファの上で過ごすことは想定外だ。しかしながらペットのあるべき姿なんてことは考えず、「いいね!」をもらうためにだけに1頭、あるいは複数頭購入するTikTokユーザーが増える一方だ。
世話は大変
そして、牛の動画は実際に人気がある。"tinycows"や"minicows"といったハッシュタグで検索してみれば、何百もの専用アカウントが作られており、再生回数が何百万回にも達する場合さえあることがわかる。TikTokではいまや"カウ・フルエンサー"(牛インフルエンサー)という言葉さえある。人気のトップは75万人以上のフォロワーがいる若いアメリカ女性の@minimoosだ。いずれにせよ、ほとんどの動画は似たり寄ったりで室内、もしくは田舎暮らしの人の場合は小さな囲いのなかで牛を愛でている。牛が何を考えているのかは知る由もない。こうした楽しい時間の共有は、本当に無害なのだろうか。動物虐待を告発するアメリカ動物虐待防止協会は異を唱える。「ニューヨーク・タイムズ」紙の取材に応じた同協会の広報担当者は、ミニ牛に純粋な関心を持ち、世話をするだけのゆとりのある人だけに売るよう、ブリーダーに呼びかけた。なぜなら飼い主が飽きたとしても「牛の受け入れ先はほとんどない」からだ。 日常的に牛の世話をしなくてはならないことを知ると嫌になる人が続出する恐れがある。いくらミニチュア種でも牛は牛。1日に数十リットルの水を飲み、都会ではなかなか手に入らないであろう乾草を食べる。都市部に住んでいる場合、部屋の中で散歩させてフンの始末もしなくてはならない。最近流行り始めたため、どのぐらいの牛が捨てられているのかの統計はまだない。だが、TikTokユーザーの態度を散見する限り、牛の運命を案じざるを得ない。
text : Gaspard Couderc (madame.lefigaro.fr)