尿検査の早朝尿の重要性を医師が解説 採尿が朝一じゃないとダメな理由や検尿結果への影響とは?
「尿検査は、朝起きてすぐの尿でお願いします」といつも言われますが、果たしてそれはどうしてなのでしょうか? 内科医の山川貴史先生(LSクリニック東京 理事長)にMedical DOC編集部が詳しく話を聞きました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
尿検査は絶対朝一番の尿・早朝尿じゃないとダメなの?
編集部: 「尿検査」では、どんなことがわかるのですか? 山川先生: 尿検査は、様々な疾患の兆候や感染症の有無のスクリーニングに役立ちます。たとえば、糖尿病や腎機能障害、尿路感染症などですね。 編集部: 検査を受けるとき、気をつけることはありますか? 山川先生: 清潔な手で清潔な容器に採尿することはもちろん、中間尿を取ること、生理中の方や薬やサプリメントを服用している場合は医師に申し出ることなど、気をつけることはいくつかあります。あとは、可能な限り朝一番の尿をお願いすることが多いです。 編集部: 朝一番の尿が良いのはなぜですか? 山川先生: 理由はいくつかあります。まず、私たちは日中に活動することで、生理的な血尿や蛋白尿が出てしまう場合があるからです。これらを除外するために、朝一番の尿(早朝尿)をお願いしています。 編集部: ほかにはどんな理由がありますか? 山川先生: 早朝尿は通常、最後の飲食から一定時間を経過した後のサンプルであるため、摂取した食べ物や飲み物、あるいはお薬の影響を受けにくいということもあります。これらの影響を受けにくいことで、例えば去年と今年の健康診断の結果を比較する際にも、条件が比較的揃いやすいと言えます。
尿検査で提出する採尿は朝一番じゃないと検査結果が変わるの? 2回目の尿は尿蛋白の検査結果に影響するって本当?
編集部: 具体的に、検査結果にどのような影響があるのでしょうか? 山川先生: 朝一番でない時間帯だと、朝食で食べたり飲んだりしたものの影響を受けることがあります。また、尿の濃度が低くなってしまうため、特定の物質や成分の濃度が低下する可能性もあります。 編集部: 深夜もしくは朝方に起きてトイレに行ってしまって2回目の尿の場合、検査結果は変わりますか? 山川先生: 確かにそういう場合、通常の朝一番の尿と比較して結果が一部異なる可能性がありますが、あまり気にすることはありません。回数や程度にもよりますが、深夜もしくは朝方に1度トイレに行ったとしても、食事や活動をしていなければ、結果にあまり大きな差はないと思われます。 編集部: 朝一番に尿を取り忘れた2回目以降の尿だと、尿蛋白の値に影響があるというのは本当ですか? 山川先生: 健康診断で早朝尿と2回目以降の尿(随時尿)の結果を比較すると、早朝尿評価では蛋白尿が減少したと報告されています。また、尿蛋白の定量検査においても、早朝尿より随時尿の方か過大評価することが報告されていますので、若干の影響はあるといえますね。とくに、「起立性蛋白尿」の方は、朝一番の尿とそれ以降の尿で、尿蛋白の値が異なります。 編集部: 「起立性蛋白尿」とはなんですか? 山川先生: これは思春期などに一時的にみられる症状で、横になって安静にしている時には異常がなく、起きて体を動かすと蛋白尿となることです。こういったケースでは、朝一番の尿では尿蛋白はマイナスなのですが、日中の尿だと蛋白尿と診断されることがあります。大人になると自然に消失するため、治療の必要はありません。