スペインの国家的プロジェクトに疑問を投げかけたヴィニシウス。なぜマドリーは彼の “挑発的な行動”を是正しないのか【現地発コラム】
クラブ内でアドバイスできる人物がいなかったも響いた
国家の一大プロジェクトに疑問を投げかけただけではない。彼が暮らし、彼が歩き、彼が今後もプレーしなければならないスタジアムが点在する国の道徳的価値観に影を落とした。もしかするとヴィニシウスは、人種差別と闘った米国の陸上選手、トミー・スミスの21世紀バージョンのような役割に熱中してしまっているのかもしれない。 クラブ内でアドバイスできる人物がいなかったも響いた。実際、彼の挑発的な行動を是正するどころか、被害者という面ばかり強調されすぎている印象は否めない。走力とドリブルに加え、失言をしない思考力を彼に求めるのは無理があるのかもしれない。 解せないのは、これまで訂正するチャンスはあったにもかかわらず、発言を放置していることだ。カルロ・アンチェロッティのような良識ある人物がクラブW杯への参加を疑問視した時は、瞬間的に反応して発言を訂正したマドリーが、ヴィニシウスの件に関しては無言を貫いている。 それはなぜか。マドリーは本気で、メディア、審判団、テバス、UEFAといった団体から迫害を受けていると考えており、ヴィニシウスは昨今、そうした敵勢力に抗う象徴に位置づけられている。 今回も彼を被害者役のままにしておいたほうが好都合と判断し、静観する構えを続けているのかもしれない。というか私にはそれくらいしか理由が思いつかない。 文●アルフレッド・レラーニョ(エル・パイス紙) 翻訳●下村正幸 ※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。
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