レスピーギの代表作『リュートのための古風な舞曲とアリア』。作曲のきっかけとは?【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
レスピーギ『リュートのための古風な舞曲とアリア』 副業の経験から生まれた代表作
今日7月9日は、イタリア近代の作曲家オットリーノ・レスピーギ(1879~1936)の誕生日です。 イタリアのボローニャに生まれたレスピーギは、作曲家として活動する傍ら、サンタ・チェチーリア音楽院の学長職を務めていましたが、「ローマ三部作」と呼ばれる交響詩『ローマの噴水』『ローマの松』『ローマの祭り』の大成功によって同学院を辞任。念願であった作曲専念の生活をスタートします。 当時オペラが主流であったイタリアにおいて、オーケストラ作品や器楽作品に傾倒したレスピーギは、極めて個性的な存在であったようです。 そのレスピーギの代表作『リュートのための古い舞曲とアリア』は、15~16世紀の昔に人気のあった弦楽器リュートで演奏されていた曲を、オーケストラ用に編曲した名作です。中でも弦楽合奏のみで演奏される第3組曲の第3楽章「シチリアーナ」の美しさは格別。 作曲のきっかけは、サンタ・チェチーリア音楽院教授を努めていた頃、同学院の図書館で古い時代の楽譜を研究した成果がもとになっているのだとか。何事も経験が大切ですね。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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