マーリンズと合意したイチローを待ち受ける難問とは?
現地23日午前、FOXスポーツのケン・ローゼンタール記者、ESPN.COMのジェリー・クラズネック記者らが、相次いで、「イチロー、マーリンズと合意間近」とツイートした。 ローゼンタール記者は、契約は1年で年俸は200万ドル程度(約2億3600万円)と伝え、出来高はないようだとしているが、一方のクラズネック記者は、出来高の条項を巡って最終調整が行われている、と報じている。詳細において相違はあるものの、ここまで複数の記者によって、リポートされるということは、もう確定と言っていい。後は、正式発表を待つだけか。
それにしても、意外な展開となった。 12月、イチローの代理人ジョン・ボグス氏は、「最低でも、キャンプで(レギュラーを)争えるチーム」を移籍先の条件に挙げていた。 ところが、マーリンズでは、第4の外野手である。 すでにレギュラーの3人が決まっているためで、ライトは、昨年11月に13年総額3億2500万ドルで契約延長を交わしたジャンカルロ・スタントン。センターは、昨季23本塁打のマーセル・オズナ、レフトは昨季ゴールドグラブを受賞したクリスチャン・イエリチで確定。キャンプで争う余地すらない。 そういう役割を受け入れたのはなぜか。 まだ、ブルージェイズやオリオールズはレギュラーが固まっていない状況。仮に控えを受け入れるというのなら、アスレチックス、メッツ、レイズ、レンジャーズという選択肢もあった。しかも、そうしたチームは、キャンプ次第では、レギュラーを狙えたはず。よって、もう少し待てば、との考えも成り立つが、実際には、そうしたチームから声が掛からなかったということなのだろうか。 マーリンズというチームを選んだこと自体も意外。 オーナーは、あのジェフ・ローリアなのである。メジャーの世界では、決して評判のいいオーナーではなく、二度とプレイしたくない、という選手も少なくない。 まず、選手への投資を嫌う。選手会と大リーグ機構から、「もう少し、お金を使うように」と警告を受けたことは1度や2度ではない。マーリンズの収入は確かに少ないが、収入分配制度により相当な資金がある。それを使わないで溜め込んでいるのではと、選手会や、他チームから散々指摘されていたのだ。 さらに、口を出す。 2013年4月に有名な事件があって、ダブルヘッダーの先発投手の順番を強引に変えてしまったらしい。 当初は、チーム最高年俸のリッキー・ノラスコがデーゲームに投げて、ホゼ・ヘルナンデスがナイターに先発する予定だった。しかしながら、ローリアが介入し、デーゲームでヘルナンデスが投げることになった。その日の夜は、気温が下がることが予想されたので、スーパールーキーを守りたかったよう。 ただ、面白くないのはノラスコ。そもそも大リーグの暗黙の了解として、ベテランがダブルヘッダーの投げる順番を決める権利がある。この件をめぐっては、ノラスコだけではなく、チームメート、監督らも強く反発したそうだ。