プロが選ぶ「声が良い」男性アイドルNo.1は?(2)今が一番いい状態…プロが絶賛する高度な技術の持ち主は?
男性は目で恋をし、女性は耳で恋をする―。英国の作家ウッドロー・ワイアットが遺した格言だ。この言葉の真偽は分からないが、“いい声”がアイドルにとって重要な資質であることは間違いないだろう。そこで今回は声の専門家に「最高のイケボを持つ男性アイドル」について伺った。第2回。※事前に編集部が選出した30名の中から5名選出していただきました。(取材・文:編集部)
稲垣吾郎(新しい地図)
―――元SMAPのメンバーで、現在は「新しい地図」で活躍されている稲垣吾郎さんの名前が挙がりました。 「稲垣さんも、同じく『新しい地図』の草彅剛さんと迷いました。ただ稲垣さんの場合、そこまで表情が動いていないのにとても聞きやすいんですよね。 しかも、声のトーンが割と高いのに全くキンキンしていなくて、とても落ち着いている。高度な技術をお持ちの方とお見受けしました」 ―――稲垣さんはSMAP時代はどこかミステリアスな印象がありましたが、「新しい地図」結成後は演技の幅が一気に広がった印象があります。 「もしかするとこれまでの稲垣さんはミステリアスなキャラクターを演じていたのかもしれないですね。で、独立してからは、自然体でのびのび演技に打ち込めるようになった。と考えると、今が一番いい状態ですね」 ―――三浦さんは、これまで、芸能界入りを目指す子どもたちの指導もたくさんされてきたと思いますが、事務所の意向で役が狭まってしまうという例はあるのでしょうか。 「正直ありますね。声質的に知的なキャラクターが似合うのに天然キャラを要求されたり、バラードの方が似合うのにポップソングを要求されたり。 基本的に、皆さん役に合わせようと無理をして頑張るんですが、ギャップに耐え切れずに辞めてしまうお子さんも中にはいましたね」 ―――ちなみに、ボイストレーニングをする際に、事務所からオーダーがある場合もあるのでしょうか。 「ありますね。ただ、その場合は、本人の意向と事務所の意向の共通項をさぐりながら、なんとか落としどころを見つけるようにがんばります。 ただ、完全に一致することはなかなかないので、やはりお子さんの負担になってしまう場合が多いですね」 ―――なるほど、稲垣さんは紆余曲折の中で自分なりの演技を見つけられたのかもしれませんね。ちなみに、稲垣さんのように落ち着いた声を出すには、どのようなボイストレーニングを積めばいいのでしょうか。 「それこそ、戦場カメラマンの渡部陽一さんの話し方のように、低音で一音一音ゆっくり話すしかないですね(笑)。 やっぱり人間って、自分の引き出しにない話し方ってできないんですよ。なので、稲垣さんのような話し方を体得するには、普段からゆっくり話すように心掛けることが重要です」 【日本美声チューニング協会 三浦人美会長 プロフィール】 発声解剖学をベースにした声を出しやすい身体に整える美声チューニング®を提唱。20代はバンドのボーカルとして芸能事務所へ所属。年間300本のライブをこなし歌い続けた経験の中で発声・姿勢・呼吸等、身体のアプローチから声を変えていく手法を実践。バンド活動の終了後は、講師として稼働をスタート。人前で声を扱うことが多い企業代表や芸能事務所所属のアーティストレッスンまで延べ3,000人以上の方を指導する。
編集部