星稜、勝負を分ける“心”を鍛錬 メンタルコーチが助言 ボール積み上げ、集中力磨く /石川
<センバツ2019> 第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場する星稜の選手たちは、心の鍛錬にも余念がない。五輪の金メダリストを指導したコーチの助言も得ながら、勝者のメンタリティーを身につけようとしている。 2月初旬。選手たちは室内練習場で、球を縦に積み上げ続けていた。球体を立てるのは容易ではない。「集中するというのはエネルギーを使うことなんだよ」。悪戦苦闘する選手に声をかけたのは、メンタルコーチの飯山晄朗(じろう)さん(49)。「本当に集中するとはどういうことか。意味を分からせる必要がある」と、いっぷう変わったトレーニングの意図を語る。 飯山さんは経営コンサルタントとして活動していた2013年7月、学校関係者を介して林和成監督(43)と出会った。スポーツの現場に身を置いたことはなかったが、自身の経験が生きるとも考えメンタルコーチに就任。以降はスポーツ選手と積極的に交流し、18年平昌五輪ではスピードスケート女子で2個の金メダルを獲得した高木菜那選手(26)のアドバイザーになった。 「技術は磨いてきたが、最後にそれを引き出すのは気持ち」と、林監督。「場面を想定して、いいイメージをあらかじめ作っておく」という飯山さんの言葉を体現したのが、山本伊織二塁手(2年)だ。昨年10月の北信越大会決勝。この試合で山本選手は9番から1番に打順が上がった。甘く入った直球が来たら、中堅方向に打ち返す--。前夜の素振りで思い描いた通りの場面に一回から出くわすと、中越えに三塁打を放つことができた。「イメージすることの大切さが身をもって分かった」と振り返る。 優勝候補と目される今大会。「ある程度自分たちの強さが見えてきていると思うが、ピンチは必ず来る。その時に気持ちを切り替えられるかが大切」と飯山さん。対外試合が解禁になり、星稜も9日から練習試合を重ねる。心を磨く格好の機会にもなるはずだ。【岩壁峻】