倉本聰原作、脚本&本木雅弘主演『海の沈黙』11月公開決定!共演に小泉今日子、中井貴一、石坂浩二ら
倉本聰による原作、脚本を若松節朗監督が映画化する『海の沈黙』が11月22日(金)に全国公開される。 【写真を見る】メガホンをとるのは、第44回日本アカデミー賞最優秀賞最多6冠に輝いた『Fukushima 50』を手掛けた若松節朗 「前略おふくろ様」、「北の国から」、「やすらぎの郷」など数々の名作ドラマを手掛けてきた倉本が長年にわたって構想し「どうしても書いておきたかった」と語る渾身のドラマを、『沈まぬ太陽』(09)や『Fukushima 50』(20)などを手掛けた若松がメガホンをとり映画化。人々の前から姿を消した天才画家が秘めてきた想い、美と芸術への執念、そして忘れられない過去が明らかになる時、至高の美と愛の全貌がキャンバスに描きだされる。 孤高の画家、津山竜次を本木雅弘が演じ、共演に小泉今日子、中井貴一、石坂浩二、仲村トオル、清水美砂、菅野恵、萩原聖人、村田雄浩、佐野史郎、田中健、三船美佳、津嘉山正種と日本映画界の豪華キャストが集結した。 世界的な画家、田村修三(石坂)の展覧会で大事件が起きた。展示作品の一つが贋作であることが判明したのだった。連日、報道が加熱するなか、北海道の小樽で女の死体が発見される。この2つの事件の間に、かつて新進気鋭の天才画家と呼ばれるも、ある事件を機に人々の前から姿を消した津山(本木)が浮かび上がる。かつての竜次の恋人で、現在は田村の妻である安奈(小泉)は小樽へ。もう会うことはないと思っていた竜次と再会する安奈、竜次に長年仕える謎のフィクサー、スイケン(中井)、贋作事件を追う美術鑑定の権威、清家(仲村)、全身刺青の女、牡丹(清水)、竜次を慕うバーテンダーのアザミ(菅野)と、それぞれのドラマが“真の美”を求め続ける竜次の想いと交錯していく。 日本を代表する巨匠が問いかけるメッセージを、映画界の第一線を走り続ける監督とキャストで映像化した本作。至高の美と愛の全貌をスクリーンで堪能してほしい! ■<コメント> ●本木雅弘(津山竜次役) 「初の倉本作品にして、黙する孤高の画家という難役に踠き苦しみましたが、40年来の同志である小泉さんとの共演にはリアルな感慨もあり、熟練の若松監督と中井さんの支えによって、不思議なアンサンブルが生まれました。観る者を突いてくる美への教訓、追憶という哀しいぬくもり、倉本先生が語る世界の奥深さを皆さまと共有できれば嬉しく思います」 ●小泉今日子(田村安奈役) 「美とはなにか。本物とはなにか。倉本聰さんがいま、私たちに投げかけたテーマに姿勢を正されるような思いだった。その矜持を私はきちんと受け取り、そして演じることができたのかいまは自信がない。けれど、成熟した大人の映画が、この日本に誕生したことを心から祝福したい気持ちです」 ●中井貴一(スイケン役) 「倉本作品に呼んでいただく時、いつも思うのです。私の本質を全て知られ、見透かされ、キャスティングされていると。というわけで、今回は謎多きフィクサーと相成りました。作品のテーマは、美。美ほど、観念的なものは無い。でも、人はそれにランクをつけ、金銭という数字をつける。資本主義経済の観点からすれば、至極当たり前のことなのかもしれないが…美とは、美の価値とは、何なのか…今回の映画は、それをじっくり考えさせられる」 ●石坂浩二(田村修三役) 「“いま”は無意味なものが情報として拡散し、メディアも又、右往左往、なにより金が総てと思い込まされ、否応なく人々は区別されていく、それが“いま”です。本当に美しい、本物の自分らしさを求めていた人間も、やがて生きている、生きていかなければならない“いま”に呑みこまれ、その“いま”は昔からの自然の流れを思えて安心してしまう。私が演じるのは“いま”だと思うのです。“いま”は未来を思い遣ることは出来るのか?“いま”が未来に重なる時はないのでしょうか」 ●仲村トオル(清家役) 「僕は滅多に断言しないのですが『脚本は倉本聰さん、監督は若松節朗さん、これを断る人はいないよ』と、家族に宣言して、いそいそと撮影現場に向かいました。この作品に参加できたこと、数十年ぶりに小泉今日子さん、石坂浩二さん、中井貴一さんと同じ現場に立てたことはとても嬉しく、誇らしく感じました」 ●清水美砂(牡丹役) 「私は純粋に倉本聰作品のファンとして倉本先生の新しい作品を大スクリーンで観られる喜びに心が躍っています。いまでも自分が先生が描いた1人の女性を演じたなんて信じられないくらいです。“牡丹”と云う名前の如く咲いた花のまま朽ち落ちる悲しい女性。愛を込めて演じました」 ●菅野恵(アザミ役) 「美しさとはなにか。世間の評価によらず、美しいものをただ美しいと見つめることはどうしてこんなに難しいのでしょうか。恩師、倉本先生が長年温めてきた作品に携われたこと、素晴らしいキャストの皆様、スタッフの皆様とご一緒できたことに感謝しつつ、1人でも多くの方に届きますように!と心から願うばかりです。ぜひ劇場で、この作品の美しさをご堪能ください」 ●倉本聰(原作、脚本) 「60年前から抱えこんできた僕にとっての大きなテーマがある。美術品の贋作というテーマである。美術作品の価値というものは社会的権威によって保証される。だがその価値基準は元々極めて主観的なものである。だから世の中には贋作が絶えない。過去に日本にもそういう事件があった。重要文化財として認定されていた一つの美術品が贋作と判明し国の指定から外されたのである。美とは何なのか。権威とは何なのか。これは、そうした矛盾に立ち向かった一人の天才画家の悲劇である。」 ●若松節朗(監督) 「老いてなお創作に情熱を燃やす脚本家、倉本聰さんの今回のテーマは『美とはなにか?』この映画化にあたり僕にとって、いつにも増して大きなチャレンジとなりました。幸い本木雅弘、小泉今日子、中井貴一始め多くの芸達者な俳優陣が結集し見応えのある映画になったと自負しています。この作品は制作側から観客の皆さんへの問いでもあります。『美とはなにか?』皆さん其々の美を見つけて頂きたいと思います」 文/スズキヒロシ