大学で増える「入学前教育」その狙いは? 東北大は海外名門校で研修
大学での学びの準備として、合格発表から入学までの期間を利用した「入学前教育」に力を入れる大学が増えています。各大学ではどのような入学前教育を行っているのでしょうか。AO入試(総合型選抜)の合格者を対象に、アメリカやイギリスでの海外研修を実施する東北大学の事例を中心に紹介します。 【写真】自宅から通える「親孝行留学」 日米2大学の学位を取得
「入学前教育」の内容は、インターネットを利用して学習するe-ラーニングのほか、読書感想文やエッセイを課すなど、大学や学部ごとにさまざまです。 例えば、明治学院大学では、法学部の合格者に対し、「入学準備プログラム」を提供。英語、国語、時事問題の3 科目を学び、入学前にニュース検定準2 級を受検することなどを課題としています。上智大学では、2022年度から従来のプログラムを刷新し、入学者全員を対象にした新たな入学前準備科目「学びを学ぶ」の提供を開始しました。全11回のオンデマンド授業では、同大学の歴史や教育精神、留学制度、在校生・卒業生のインタビューなどが動画で紹介され、最終回には自身の4年間の学び方についてのレポート提出が課されます。
ハワイやイギリスなどで研修
東北大学の海外での入学前研修は、英語力を磨くだけでなく、将来グローバルな舞台で活躍するための基礎力をつけることを目指しています。24年度の入学前研修では、「米国 環境・多文化コミュニケーションコース」(ハワイ大学マノア校)、「米国 未来デザイン・I&Eコース」(カリフォルニア大学バークレー校)、「英国 国際対応・エンジニアリングコース」(ヨーク大学)、「国内 アカデミック英語と多文化社会コース」(国際教養大学)の4コースを実施します。ヨーク大学の研修内容は理系向けの内容ですが、 入学予定者は学部を問わず、いずれのコースにも応募可能です。また、一定の要件を満たして研修を修了した参加者は単位も取得できます(2単位)。 ※「AO入試」は文部科学省が2021年春入学の試験から「総合型選抜」と名称変更しましたが、東北大学などでは現在も「AO入試」の名称を使用しています。 東北大学グローバルラーニングセンターの髙松美能准教授は、入学前研修の目的を「グローバルマインドの基礎を養い、4月から始まる大学での学びに生かしてもらうこと」と説明します。「AO入試II期、国際バカロレア入試(法学部・薬学部)、地域枠入試(医学部医学科)の場合、合格から入学まで時間がありますから、大学生活がスムーズにスタートできるように、海外、または国内での入学前研修を通じて準備を行います。それだけでなく、研修参加を通じて入学前に合格者とのつながりを持てることも大きいのではないでしょうか」(髙松准教授)