金メダル、殿堂入り、8年ぶりメジャーV…リディア・コー「クレイジーな3週間」
◇女子メジャー最終戦◇AIG女子オープン(全英女子) 最終日(25日)◇セントアンドリュース オールドコース (スコットランド)◇6784yd(パー72) 【画像】金メダルをかけてもらうときって、どんな気持ちだろう 美しすぎる形で節目に到達したキャリアには、なおも想像を上回る続きがあった。2週前の「パリ五輪」で金メダルを獲得してツアーの殿堂入りを果たしたリディア・コー(ニュージーランド)が、8年ぶりのメジャー優勝を遂げた。「この3週間はクレイジーで、つむじ風のようだった。これ以上いいことはないと思っていたけど、今週私はAIG女子オープンのチャンピオンになった。もちろん、オールドコースでの優勝は特別なもの。天にも昇るような気分」とパリに続いてうれし涙をぬぐった。
3打差から出た最終日は強風に加えて雨も降ったオールドコースが混戦模様を演出。首位スタートの申ジエ(韓国)、一時単独トップに立った世界ランキング1位のネリーコルダがサンデーバックナインでスコアを落とし、16番で並んだことを知った。「そこから17番をパーで切り抜けて、18番でバーディを獲ることを目標にしたの」 強烈な横殴りの雨に見舞われた17番で「私の今までのベストショットのひとつ」と胸を張る一打が出た。右からのアゲンストを切り裂くような3Wの低弾道でグリーンを捉え、難関ホールをバーディ逃がしのパー。「ある意味、コンディションのせいで選択肢はなかった。3Wか、やっぱり3Wか。ほかのクラブでは届かなかったから。アグレッシブなスイングができたのは良かった」。苦しいはずの状況を、迷いを断ち切る材料に変える強さがあった。
18番は右上から2m強のチャンスを仕留め、力強くこぶしを握った。「プレーオフにもつれようとも、勝利を逃すことになろうとも、まず自分にチャンスを与えたかった。そうすることで、勝てる勝てないを考えるよりも、ただ目の前のことに集中していたから、少し楽だった」。最終ラウンドのラスト15組では唯一の60台となる「69」で通算7アンダー。雨が上がったオールドコースで夕日を浴びながらカップを掲げた。 前回当地で行われた2013年大会は16歳でローアマを獲得した、かつての天才少女。浮き沈みを乗り越え、いま再び充実期を迎えている。金メダル獲得で殿堂入りを決めた際、取りざたされた引退の可能性は改めて否定する。