完全招待制の「mixi2」リリース、一体どんなSNS? そして今までの「mixi」はなくなってしまうの? 公式の回答は…
フォローしていない人の投稿が出てこないタイムライン
冒頭の通り、今年は「mixi」のリリースから20年にあたる。なぜこうしたSNSを改めて開発するに至ったのだろうか。開発目的を聞いてみた。 「近年のSNSはレコメンドアルゴリズムによる情報選別で、心理的に不安になるユーザーも多いと認識しております。不安の背景にはプライバシー保護に関する問題も含まれるでしょう。既存のSNSに対する不安が高まる中、20年の運営経験を活かし、レコメンドではなくユーザー視点にたったSNSの開発を検討した次第です」(同) Xのタイムラインでは「おすすめ」が標準となっており、自身のフォローした相手の投稿だけを見るには「フォロー中」のタイムラインに進む必要がある。 政治、社会問題とSNSの関係性が昨今、問題視されているが、レコメンド機能が個人の思想を増強させるほか、炎上・拡散の要因にもなっている。 少なくともコミュニティ内で政治的な内容や過激な内容の投稿がされる可能性は低く、既存のSNSに辟易したユーザーにとって「mixi2」は居心地の良い場所になるかもしれない。 とはいえ「mixi2」の「発見」タイムラインもあり、ここでは恐らくレコメンドに基づいた投稿が表示されるようになっている。
従来からある「mixi」はどうなる?
現段階で誰もが新規登録できるわけではなく、「mixi2」のユーザーから招待を受ける必要がある。完全招待制とした目的についてMIXIは、「利用開始時から身近な友人・知人との繋がり交流を楽しむことを企図しているため」としている。 「mixi」こそ当初は招待制をとっていた。人と人のつながりを強く感じられるようにするためと当時は公表している。招待制をとることでユーザーの帰属意識を高める狙いがあったのかもしれない。 しかし2010年以降、招待制を廃止したことで「業者が入ってくるようになった」「信頼感が失われた」という批判を受け、海外SNSの台頭もあって「mixi」の存在感は低下してしまった。 MIXIの主力事業は現在、スマホゲーム「モンスターストライク」が中心のエンターテインメント事業だ。「mixi2」を完全招待制とすることで、「mixi」当初の良さを取り戻す狙いがあるのだろう。新SNSをリリースした今後、「mixi」はどうなるのだろうか。 「mixi2とmixiは別々のサービスです。コンセプトも異なり、互換性もありません。それぞれの良さもあるため、今後も並行して運用するつもりです。「mixi」がサービスを終了する予定はございません」(同) 従来からある「mixi」のユーザー数は実質200万人程度と言われており、他SNSより少ないとはいえ一定の規模を有する。「mixi」事業を擁するライフスタイル事業の売上高は134億円だ(2024年3月期)。 「mixi2」は既存SNSと「mixi」当初の良さを掛け合わせたような機能を持つ。新しい国産SNSがモンストに代わるMIXIの主力事業となるのか、今後に目が離せない。 取材・文/山口 伸
山口伸