ワールドシリーズ制覇 栄光にたどり着いた大谷翔平と支え続けたデコピンとの1年
大谷にとってこの1年にのしかかったプレッシャーはいくつもあった。6年在籍したエンゼルスから、10年7億ドル(約1070億円)の超大型契約で名門ドジャースに移籍した。常に活躍が求められる存在になった。昨年9月に右肘の靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受け、今季は投打二刀流をあきらめ、打者専念でプレーすることを決断。2月にキャンプイン、オープン戦と開幕へ向けて調整は順調だった。
だが、思わぬところで事件が発生。元バスケットボール選手の真美子夫人との結婚を発表し、幸せいっぱいだった3月、全面的に信頼してきた専属通訳の違法賭博が発覚、直ちに解雇された。ショックは大きかったはず。もちろん本人も事情を聴かれた。それでも自宅に帰ればデコピンが耳を垂らして待っていた。
大谷がデコピンのことを語るとき、一緒にいるときは、とても世界を代表する勝負師の表情ではない。「超人」「宇宙人」とも言われ、規格外の強さを見せる大谷も、最も支えにしてきたのは夫人と愛犬だろう。ここは普通の人間だった。