トランプ大統領の機密漏えい疑惑 情報が第三国に? 頭の痛いイスラエル
無断で情報提供なら同盟国との信頼関係に影
15日にワシントンポストやニューヨークタイムズは「会談ではトランプ大統領からラブロフ外相に機密情報が提供された」とする複数のホワイトハウス関係者からの情報を紹介し、ロシア側に提供された情報が第三国からアメリカに渡された機密性の高い情報だったと報じた。 会談にはラブロフ外相のほかに、昨年の大統領選挙時からトランプ陣営の関係者と何度も秘密裏に接触していたとされるセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使も同席している。2008年から駐米大使を務めているキスリャク氏は、以前にCNNが「アメリカ国内の政府職員などをロシア側の情報提供者に仕立てるリクルーター」として報じられたことがあり、ロシア外務省が激しく抗議したこともある。ラブロフ外相とキスリャク大使に伝えられた情報は、過激派組織「イスラム国」(IS)のテロリストがノートパソコンに爆薬をしかけ、探知されないまま機内持ち込みを可能にする技術に関するものであったとされる。 ロイター通信は16日、米諜報機関関係者の話として、ロシア側に提供された情報はアクセスが最も厳しい「トップシークレット」に分類されるものであったと伝えている。機密扱いの情報にはランクがあり、情報の内容によって、「トップシークレット」、「シークレット」、「コンフィデンシャル」に分類される。 トランプ大統領からラブロフ外相らに伝えられた機密情報は、もともとアメリカの同盟国から提供されたものであったが、イスラエルによるものであったという見方が強くなっている。各国の情報機関の間には、ある国から提供された情報を、事前に許可を得ない状態で他国に伝えることは御法度とする不文律が存在し、信頼関係の欠如は同盟国間における情報の提供や共有にも大きな影を落とすことになる。 イスラエルの元国会議員で、1996年から1998年まで同国の情報機関「モサド」で長官をつとめた経験もあるダニー・ヤトム氏は16日、「機密情報の入手は、同時に情報源の特定を容易にすることを意味する。我々が入手した情報について、情報源が誰なのかをIS側が現在は把握していないとしても、第三国にわたることで情報源に危険が迫る可能性は高い」と、地元メディアとのインタビューで警鐘を鳴らした。 ヤトム氏によると、これまで情報を第三国に提供する場合には、それぞれの軍の連絡官を経由して、米大統領とイスラエル首相の間で情報の提供を認めるかどうかの話し合いが行われてきたのだという。トランプ大統領がロシア側に提供した機密情報は、決して他国に口外しないように念を押されていたものとされており、長年にわたって続いてきたアメリカとイスラエルの情報共有に大きな影響を与えるのは必至だ。