「東大→東大院修了」高学歴アイドルが悩む“肩書の葛藤”「本当は言いたくなかった」“東大卒”雲丹うにの半生
実家で暮らしていた当時、現在の真っ白な髪色にして「『ご近所さんに顔見せできない見た目』にするのはやめなさい」と諭されて以降、会話をした記憶は「ない」という。 母は今、何を思っているのか。察するしかできないが、雲丹は「いつになれば、私を認めてくれるのか」とポツリ。 それでも、育ててくれた感謝は心の中にずっとある。 母も応援してくれていると信じて、現在は、地上波のテレビ番組でソロタレントとしても活躍するほど、活動は順調だ。
背景には「東大卒」「東大院修了」という、誰もがうらやむ肩書があるのも明らか。 しかし、雲丹自身はプロのアイドルとして、ステージに立ちはじめてからしばらくは、肩書を誇示していなかった。 ■「学歴は努力の結果」と悟って前面に 東大院の1年次、キャリア1組目のグループに在籍していた当時は、東大卒の肩書によって「ミーハーな人たちがたくさん来たら、嫌だ」と思っていた。 「東大のフィルター」はなしで見てもらいたい。あくまでも勝負するのはパフォーマンスで「アイドルにしては、頭の回転が速い」と驚いてもらいたかったという。
しかし、現在では「グループのためになるなら」と心境は変化。 「学歴は努力の結果」と悟り、前面に出している。グループの特典会では、地頭のよさから「話せば面白そう」として、足を運んでくれるファンもいると喜ぶ。 活動の幅が広がるにつれての苦労も。 ステージではリラックスした表情で愛嬌をふりまくが、テレビ出演では「緊張」も絶えない。 ただ、慣れない環境だけが理由ではない。そこにも、育った家庭環境が影響しているのは、雲丹らしいと思える。
東大合格を目指していた中学校時代、高校時代は、実家で「ニュース番組と、自然の風景を流す番組しか見られなかった」と回想。 当時は、学校で友人が「月9が~」と話していても「何のこと?」と聞き返すほどで、バラエティ番組などは「ほぼ見てこなかった」という。 ただ唯一、水曜日の夜だけはチャンスが。親が趣味のヨガへと出かけている間だけは『クイズ! ヘキサゴンII』と『はねるのトびら』を見られた。 とはいえ、両親の「下品な笑いが好きじゃない」との持論を理由に「みんなが当たり前に知っているテレビ番組」を見ずに過ごしてきた、青春時代の“ブランク”も。
テレビ出演時には「失礼ながら、共演者の方がわからないときもあって……」と苦笑する。 はたから見れば“超温室育ち”で、青春時代のバラエティ番組にほとんどふれてこなかった雲丹が、芸能人として知名度を高めつつあるのは数奇だ。 しかし、その純粋さも、彼女ならではの持ち味といえる。 自身で「向いている」と胸を張るアイドルとして、ソロタレントとして、その未来はきっと明るい。 *この記事の前半:「東大→東大院」アイドルの“超壮絶すぎる青春”
カネコ シュウヘイ :編集者・ライター