箱根駅伝Stories/関東学生連合・古川大晃 自身3度目の選出で初の出走へ「夢の舞台を最高のかたちで」
新春の風物詩・第101回箱根駅伝に挑む出場全21チームの選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。新たな100年への第一歩を踏み出す大会に向かうそれぞれの歩みを紹介する。 箱根駅伝2025 関東学生連合のエントリー選手名鑑をチェック!
研究やレースと併行して練習会に
29歳となった古川大晃(東大院D4)が、自身3度目の関東学生連合チームに選出された。悲願の箱根路出走を目指している。 2021年4月。古川は九州から上京した。同年5月、初めての関東インカレ(3部)で5000mと10000mに出場。10000mでは現在の自己ベストとなる29分08秒79をマークした。 このレースを見ていた第81回大会に関東学連選抜で8区10位の松本翔さんが、古川に「一緒に練習しないか?」と連絡を取った。松本さんは古川と同じ九州の出身。宮崎・小林高から東大に入り、第60回大会に大学として出場以来、21年ぶりに東大生として箱根路を走った。 松本さんは現在「Team M×K」という市民ランナー向けチームを主宰し、都内で練習会や記録会を開催。練習会ではA~Eと走力別にグループ分けし、フルマラソン2時間20分を切るレベルのランナーがペースメイクする。また、ペーサー同士も練習を重ね、松本さんを含め仕事をしながら記録向上を目指している。 古川は直接連絡をくれた松本さんに恐縮しつつ、「走りながらアルバイトもでき、大学の本練習に加えて距離も稼げる」。この4年間研究やレースの合間で、練習会のペーサーを務めてきた。参加者たちには人柄とともに好評だ。 「市民ランナーの方々は仕事の傍ら、本当に好きで練習に来ています。中にはかなりの距離を踏まれている方も。その姿勢が良いですよね」。自らが競技を続けるモチベーションにもつながり、陸上競技者をテーマとしている自身の博士論文の実践の場の一つとしても、学びのある機会になってきたという。 熊本県八代市生まれ。子どもの頃から長距離走が得意。箱根駅伝はお正月の家族団らんの場で、「あの舞台で走りたい」と思うのは自然な流れだった。 熊本・八代高時代の5000mベストは県総体で出した15分05秒41。「何としてでも箱根駅伝に出られる大学に行きたかったです」と振り返る。学費や寮費を補助する関東の大学からの勧誘もあったが、家族や先生との激論のすえ、一浪して地元の熊本大に進む。 熊本大、そして九大院時代に出場した九州学生駅伝対校選手権(島原駅伝)では、上り区間の4区(9.38km)で5年連続区間賞。同区間は、箱根5区の宮ノ下付近の最大斜度に近い激坂が続く難コースだ。九大院時代はトラックでも5000m14分04秒08、10000m29分22秒33まで記録を短縮している。