箱根駅伝Stories/関東学生連合・古川大晃 自身3度目の選出で初の出走へ「夢の舞台を最高のかたちで」
感じた箱根駅伝の「熾烈さ」
東大院の博士課程に進んだ後は箱根駅伝予選会で好走し、1年時と2年時に関東学生連合チームに選ばれた。 出走こそならなかったが、帯同して感じたのは箱根駅伝の「熾烈さ」だった。「予選会で上位の選手が集まり、10000m28分台を持っていても、実際に走ると区間下位に沈んでしまっていました」。連合チームの厳しさに打ちひしがれた。 加えて3年時の100回大会では記念大会ということもあり、連合チームが編成されなかった。連合チームの在り方について、関東学連に働きかけもした。心が折れかかったときに、救われるきっかけとなったのが秋吉拓真(東大3)の存在だ。 兵庫県出身の秋吉も箱根駅伝出場へ、パッションは熱かった。古川はこれまで自分より速いタイムを持つ部員が高校時代から含めていなかったが、昨年秋に秋吉が5000m、10000m、ハーフマラソンとも古川のタイムを抜いた。「自分も負けていられません」。 博士課程で4年目を過ごし、挑んだ今年の予選会で3度目の連合チーム入り。5番手のタイムで、出場に大きく前進した。小指徹監督(東農大監督)からは「最年長でリーダーシップを発揮してほしい」と主将に指名された。 11月の10000m記録挑戦競技会後、「10位相当。悪くても15位相当」としていた目標について、古川は小指監督から練り直しを求められた。出した答えは「8位相当」だ。 「学生連合チームは、16校分の関係者が応援しています。タスキの重みを感じながら、成績を最大化させることがチームの存在意義につながります」。過去2度メンバー入りしたことで感じた本戦の高い壁……。目標の上方修正は本気度の表れだ。 来年度からは京都の大学で博士研究員になる予定だ。「東京での4年間、多くの出会いがあり、いろんなところに練習のモチベーションとなる源泉がありました」。高校生の時から出たかった箱根駅伝。「偉大な大会。不思議な縁で、何となく強く望んでいたら、いつの間にか巡り巡ってきました。夢の舞台を最高のかたちで終われるよう、いい走りが本番できたらなと思います」。 学生生活“10年目”のチャレンジが、いよいよクライマックスを迎える。
荒井寛太/月刊陸上競技