コーチも最初は頭を抱えた? 阿部未悠を初優勝に導いた“ラストピース”
◇国内女子◇富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 最終日(7日)◇石坂ゴルフ倶楽部(埼玉県)◇6535yd(パー72)◇晴れ(観衆4933人) 【画像】オーガスタナショナルはメディアビルの規模もすごい 1打リードで迎えた最終18番、阿部未悠のセカンドショットはグリーン奥にこぼれた。ピン位置は左奥でも「練習ラウンドでグリーン(傾斜)が受けているなと確認していた。行ってしまうなら、(寄せやすい)奥だと思っていた。想定内ではありました」。58度のウェッジでのアプローチは少しだけランが出てしまったものの、しっかりパーパットを沈めて佐久間朱莉を1打差で振り切った。 この日初めてリードを奪った直前17番(パー5)のバーディも、58度での3打目を1.5mに絡めたものだった。ロープの外で見守ったコーチの目澤秀憲氏は「ここで“これ”が来るのか…」と緊張感を高めたという。初優勝への勝負どころで問われたショートアイアンとアプローチの精度。まさに2月の宮崎合宿で重点的に強化してきたポイントだったからだ。 阿部が目澤氏とタッグを組んだのは昨季開幕前のオフ期間から。有村智恵の紹介だったという。球筋をフェードにチェンジする取り組みが最大のテーマだったが、すでにシードを獲得している選手だけあって、ロングゲームのレベルはすでに高かった。一緒に戦った2023年シーズン、フェアウェイキープ率3位(75.6477%)でトータルドライビング9位。トータルドライビングとパーオン率の順位を足してショット力を表すボールストライキングも19位だった。
一方で痛感したのは小技のスキルアップの必要性。阿部は「たぶん、去年目澤さんは最初に私のアプローチを見て頭を抱えたんじゃないかと思う」と笑う。練習の一環として同門の永峰咲希や目澤氏を含めてアプローチで対決しても“連戦連敗”。ボールにうまくコンタクトできず、なかなか距離感も合わせられない状態だった。“座学”で物理法則を頭に入れてから、実際に打ってみる。知識と感覚を結び付けていく作業を繰り返してきた。 目澤氏は「阿部選手はもともとドライバー、ショットがうまい。ただ、防御がポイントでした。ショットがハマって、いい時はいいんですけど、ミスをカバーできないと、なかなかスコアもまとまっていかない。ショートゲームって“病院”みたいなものなんです」と話す。初優勝、さらに上を目指すためには“ケガ”をした時に助けてくれる存在が必要だった。