「自分はどんな被災地支援ができるのか」平成ノブシコブシ・徳井健太 ショベルカーの資格をとるも経験不足で「奥多摩で山を削った日々」
でも、実際に人を助けなければいけない状況で、毎日、山や川を掘らないとレベルはあがりません。単に道路を走るのとは違って、どこに穴が空いてるかわからないし、判断や操縦を誤れば、相手も自分も命の危険があるわけですよ。習った通りにやっているだけでは務まらない部分がほとんどです。最初に被災地ボランティアに行ったのは愛媛県の西予市というところでしたが、もう技術が追いつかなくて…。
■被災地で知った「ボランティアはぬるい気持ちではやれない」 ── 重機を動かすとなると、かなり責任の重いボランティアになりますよね。 徳井さん:はい。仕事のスケジュールもなかなか決まらない職種ですし、家に幼児がいる身では、全力投球はできません。何度か被災地に行きましたが、仕事と家のことを気にしながらぬるくやれるものではないので、僕はしばらくは本格的にはできないと思います。これは、実際に体験しないとわからないことでした。僕が行ったボランティア活動は、本当に無給で多くの人が全国から来ていました。命の危険がある活動をして、その間、奥さんは家で子どもと待っている。もしボランティア中にこの人が亡くなったら、家族はどう思うのだろうと、ふと考えてしまいました。みんなどうやって生活してるんだろうとか…。
── 自分の生活も大切ですものね。被災地で印象に残っていることはありますか? 徳井さん:東日本大震災で被害にあった人たちが、たくさんボランティアで来ていたことです。実際に、東日本大震災で大変な思いをした人たちが、自分の人生をかけてでも熊本や能登に行っているケースは多いでしょう。僕がボランティアに行こうという考えより、確固とした思いで来ている気がします。本当に助けられたことのある人こそが、本気で人を助けることができるのだと思います。
PROFILE 徳井健太さん 1980年生まれ、北海道出身、NSC東京校5期生。 2000年に吉村崇とお笑いコンビ「平成ノブシコブシ」を結成。 テレビ朝日系『楽しく学ぶ!世界動画ニュース』にレギュラー出演中。芸人や番組を愛情たっぷりに考察する事でも注目を集めている。 最近では、幼少期の経験から、「ヤングケアラー」をテーマにした講演会を全国各地で行っている。 取材・文/岡本聡子 写真提供/徳井健太、吉本興業株式会社
岡本聡子
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