市場問題PTは何を話しあってきたか 報告書の知事提出までの流れまとめ
東京都の豊洲市場移転の安全性など、課題を検証する都の「市場問題プロジェクトチーム(PT)」の会合が続いている。PTは8月末、小池百合子都知事が同市場の移転延期を発表するとともに設置が決まった。会合は月一回のペースで開かれており、11月29日の第3回会合では、はじめて来春までの会議予定とテーマが示された。一方で、小池都知事への報告書提出の時期は、まだ見通しが立っていないのが現状だ。
何を話しあってきたのか
市場問題PTは、豊洲市場の土壌汚染の安全性や施設の機能、事業継続性など、市場移転にまつわるさまざまな課題を検証するために発足した。土壌汚染対策を中心に取り扱う専門家会議とは、取り扱うテーマの範囲の広さが異なる。 9月の初会合では検討課題を整理し、10月の第2回会合では建物の構造安全性などについて意見交換。11月29日に開かれた第3回の会合では、市場内の物流をテーマに協議した。豊洲市場の設計を担当した日建設計が、水産仲卸売場棟入口のヘアピンカーブなど施設の安全性を説明する一方、小島敏郎座長(青山学院大学教授・弁護士)は、「どういう形にしろ何らかの対策が必要」として危険を防ぐ対策の必要性を指摘した。 この日、小島座長は今後の会合で検討するテーマについても説明した。12月に予定される第4回会合では施設の温度管理や働きやすさ、来年1月の第5回会合は豊洲市場の事業継続性、同2月の第6回会合は築地市場の補修や場外市場への支援措置、同3月の第7回会合は地震・液状化などの検討をそれぞれ行う予定。 もっとも、7回で一区切りつけるというわけではなく、話し合わねばならないテーマを月ごとに並べるとこうなったという。小島座長は、「会合で積み残したテーマや、報告書の中身をどうするかの議論は、またその後になる」として、第7回以降も会議は続くとの見通しを示した。
知事の総合的な判断は市場問題PTの報告書が出てから
小池知事が11月18日の定例会見で説明した豊洲問題の今後の流れによると、専門家会議の報告書提出は来年4月、市場問題PTの報告書提出は来年5月との見通しを示す。その後、小池知事は17年6月から7月に実施を想定している環境アセスメントの手続きをへて、移転するかどうかも含めて「総合的な判断を下す」とした。それぞれの時期は、あくまでも目安のようだが、いずれにせよ、総合的な判断は市場問題PTの報告書が出てからになる。 移転延期を決めた際、小池知事は、「巨額かつ不透明な費用の増加」や「安全性への懸念」を疑問点として指摘していた。今後の同PT会合では、1月に豊洲市場の建設費が適正だったかどうかを検証するほか、安全面では、地震・液状化といったテーマも控える。これらをテーマとする会合が紛糾するような事態に陥れば、移転をめぐる判断がさらに先に延びる可能性もある。 (取材・文:具志堅浩二)