ティアック、「プレミアムオーディオ技術」結集した純アナログ仕様ヘッドフォン/プリアンプ
ティアックは、プレミアムオーディオ技術を結集したという純アナログ仕様のヘッドフォン/プリアンプ「HA-507」を、12月14日に発売する。価格は308,000円で、カラーはブラックとシルバーを用意する。 【画像】USB-DAC/プリアンプ/ヘッドフォンアンプ「UD-507」と組み合わせたところ DACを搭載しない完全バランス/デュアルモノ設計の純アナログ仕様にすることで「ヘッドフォンアンプおよびHi-Fiシステム用コンパクト・プリアンプとして音質面での最高峰を目指した」というモデル。 広帯域に渡るフラットな周波数特性と低歪率を備えた高出力アナログアンプ回路を採用。スピーカーも余裕で駆動できるパワーデバイスを左右/正負で合計4基搭載した完全バランス構成で、バランス出力時6,700mW+6,700mW(32Ω)のヘッドフォン駆動能力を備え、低能率や高インピーダンスのヘッドフォンでも駆動できる。 アンバランス出力時には、内部動作をバランス駆動からアクティブ・グランド駆動に切り替え、グランド電位をゼロボルトにアクティブ駆動することでアンバランス出力でも優れた音場表現を実現したという。 ヘッドフォン出力はバランス/アンバランスともに各2系統で、バランス出力はノイトリック製XLR4ピン、4.4mm Pentaconnを、アンバランス出力は6.3mm標準と3.5mmステレオミニを備える。ゲインはHigh/Mid/Lowの3段階。適合負荷インピーダンスは16~600Ω。 プリアンプのパススルー機能を備え、手持ちのプリアンプと組み合わせて、単体の「ヘッドフォン・パワーアンプ」として使用可能。低能率/高インピーダンスのヘッドフォン駆動などで、プリ/パワーをセパレートした、より本格的な上級ヘッドフォン再生環境にシステムアップすることができる。すでにスピーカー再生環境でプリアンプを所有している場合、ヘッドフォン環境でも共有できる。 プリアンプをパススルーし、ヘッドフォン・パワーアンプとして使う場合でもヘッドフォンのゲイン、左右の音量バランスは調整できるなど、使い勝手にも配慮されている。 左右・正負(L+、L–、R+、R–)に独立した4回路構成の固定抵抗切替式ボリュームを使った新開発の「TEAC-QVCS Advanced」を搭載した。オーディオ信号経路上に配置することで信号経路を最短とし、信号線の引き回しによるオーディオ信号の劣化を防ぐ。 ボリューム素子内部の抵抗体は、現代半導体プロセス技術の粋を投入したといい、高度な精度管理を行なうことで、従来型のQVCSからさらに進化した音質と精度を獲得した。 音量調節は0.25dBステップで可能で、「デュアルモノならではのクロストークの無い圧倒的なチャンネルセパレーション、バランス回路の正確なシンメトリーが生む静かで精緻な音楽描写力を備えている」とのこと。 プリアンプ部の入力はXLR×2系統とRCA×2系統。同社のReference 500システムに加えれば、さまざまなアナログ機器を接続できる。入力の切り替えは、機械接点のないFETスイッチを採用することで、信号の純度を高めるとともに、経年劣化のないロングライフも実現した。 プリアンプ出力はXLRとRCAを各1系統搭載。出力バッファーアンプは、オリジナルHCLDよりもさらに電流の高スルーレート/ハイスピード伝送にこだわった「TEAC-HCLD 2(High Current Line Driver 2)」を採用することでパワーアンプ、その先のスピーカーをドライブできる。 電源部はオーディオ回路専用とコントロール用の2系統を備え、それぞれが完全に独立。オーディオ回路専用の大型トロイダルコア電源トランスは、左右の巻線を分離し、チャンネルあたり18,800μF(4,700μF×4)のコンデンサーをカップリングした大容量デュアルモノ電源。高速なショットキー・バリア・ダイオードなど、部品選定にも一切妥協していないという。 安定化電源回路は、クオリティ重視の完全ディスクリート構成で、フィードバック量の低減で躍動感と音場の描写性能を高めている。 シャーシはデスクトップにも収まるA4サイズながら、アルミニウムを多用することで重量を確保。トップパネルは2.8mmの肉厚アルミニウム製で、ネジで固定せず、左右のアルミ製パネルのスリットに自重で収まるセミフローティング方式を採用しているほか、内部のPCB基板の固定ビスも最小限にして、開放感あるサウンドを実現した。 底板とフットとの接合に遊びを持たせた金属製のティアックオリジナル「Stressless Foot」も採用。また筐体の排熱効率を高めることでファンレス設計を実現。コンパクトサイズ、ハイパワー、高音質を高次元で両立させている。 トップパネルの放熱用グリルや、内部のパワーデバイス用放熱フィンなど、サイズの大きなコンポーネントはメディカルグレードの特殊な素材を介して共振をコントロールしている。 そのほか、プリアンプとしてのボリュームやノブの操作感、質感にもプレミアム・コンポーネントんとしてのこだわりを注入したといい、ノブ類はすべて高級感あるアルミニウム製の部品を採用。軸ブレを防ぐ特許出願中の特殊機構も盛り込んで、高い精度感を求めている。付属の専用リモコンでボリューム操作する際のモーター駆動も「『純アナログ』をコンセプトに掲げたHA-507ならではの細部へのこだわり」とのこと。 消費電力は30W、スタンバイ時0.3W。外形寸法は290×243.9×84.5mm(幅×奥行き×高さ/突起部含む)、重さは4.6kg。電源コードやリモコン(RC-1340)、フット用クッションなどが付属する。
AV Watch,酒井隆文