「ドーン」ではなく「ピュッ」 福本豊氏が巨人・戸郷のノーヒットノーランを絶賛
◆JERA セ・リーグ 阪神0―1巨人(24日・甲子園) 戸郷は真っすぐの質が良かった。極端な言葉で表現すると、いつもの戸郷の直球は「ドーン」だが、この日は「ピュッ」。阪神の打者としては、手元での伸びを感じるので、ファウルも含めてフライになる打球が多かった。 速球の質が良かったのは、“楽”に投げていたからだろう。いい意味で力感がない。リキみなく投げることで「ピュッ」という伸びが出ていたし、制球の良さにもつながっていた。 今季初コンビの捕手・岸田の存在も見逃せない。試合の勝敗も含めて山場の一つだったのは5回だ。味方が先制点を挙げた直後、先頭打者を失策で出塁させてイヤな流れだった。その勝負どころで見事な配球。前川にインハイを2球使って追い込んで、フォークで遊飛に仕留めた。内角を意識させられていた前川は、完全にスイングを崩されていた。 甲子園で阪神相手のノーヒットノーランは65年広島・外木場さん以来という。その時の観衆は2700人だったそうだ。この日の甲子園は満員。しかもスタンドはほぼ黄色一色。完全アウェーの中で達成した大記録は、いっそう価値がある。(スポーツ報知評論家・福本豊)
報知新聞社