Bloomberg

（ブルームバーグ）： 衣料品チェーンの「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは10日、今期（2025年８月期）営業利益が前期比5.8％増の5300億円になるとの見通しを発表した。

ブルームバーグが集計したアナリスト14人の予想平均5150億円を上回った。発表によると、今期は海外のユニクロ事業が好調で、北米や欧州、東南アジア・インド・豪州地区でいずれも大幅な増収増益を見込む。前期は苦戦した中国本土や台湾を含めた中華圏でも増収増益になるという。

柳井正会長兼社長は会見で、毎年5000億円ずつ売り上げを伸ばしていけば数年のうちに中間目標として掲げる売上高５兆円に届くとし、「世界市場の環境や会社の潜在力はそれが可能なステージに来ている」と述べた。さらにその先の10兆円の目標の達成に向け、準備を進めていると続けた。

少子高齢化で国内市場が頭打ちとなる中、ファストリは積極的な海外出店を続けており、今期も海外のユニクロ店舗は80店の純増となる見込み。海外事業のけん引で売上高は着実に増加しているものの、「Ｚａｒａ（ザラ）」を展開する業界首位インディテックスの背中は遠い。

今後焦点となるのが、海外にあるユニクロ店舗の５割超がある中国市場だ。不動産市場の低迷が長期化して消費が冷え込んでおり、米スターバックスやフランスの高級品ブランドグループ、ＬＶＭＨモエヘネシー・ルイヴィトンなどは戦略の見直しを迫られている。前期（24年８月期）に初めて売上高３兆円を突破し、利益も堅調に伸びたファストリだが中華圏での営業利益は前の期から0.5％増の1048億円にとどまった。

ファストリは中華圏について、店舗のスクラップ・アンド・ビルドやブランディングの強化などを進め「事業の質的転換を図る」としている。岡﨑健グループ上席執行役員兼最高財務責任者（ＣＦＯ）は「中国市場に対して中長期的に非常に強気であるし、楽観的に考えている」と述べた。