『ファースト・バーサーカー: カザン』TGS2024版を先行レビュー。“相手と渡り合っている感”が超楽しい丁寧なソウルライク。えげつない攻撃とスタイリッシュアクションが絶妙にマッチ
ネクソンが送る新作タイトル『The First Berserker: Khazan』(ザ・ファースト・バーサーカー: カザン)。プレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC(Steam)にて、2025年リリースが予定されている。 【記事の画像(24枚)を見る】 2005年にリリースされて以降、いまなお世界で高い人気を誇るアクションRPG『アラド戦記』の世界観をベースに、スタイリッシュで歯ごたえのあるバトルが楽しめるハードコアアクションRPGだ。本記事では、2024年9月26日~29日(※)に開催される東京ゲームショウ2024で展示される試遊版の先行レビューをお届け。 ※9月26日、27日はビジネスデー。 『アラド戦記』未プレイでも100%楽しめるハードコアアクション 舞台となるのは『アラド戦記』本編より数百年前。主人公である大将軍カザンは、狂竜ヒスマからペル・ロス帝国を救った英雄であった。しかし叛逆者の汚名を着せられ、雪山へと追放されてしまう。カザンは自身を没落させた事件の真相を暴き、復讐のために戦うことになる。 『アラド戦記』をやり込んでいる人は、“カザン”という名前を聞いたことがあるかもしれない。プレイアブルキャラのひとりである鬼剣士の祖先だ。 『アラド戦記』を知っていれば「あ、これか!」と気づくようなファンサービスも用意されているが、事前知識がまったくなくても問題なく楽しめる。 本作では、道中の敵やギミック、一筋縄ではいかないボスに何度も倒されては復活して攻略していく。いわゆる“死にゲー”や“ソウルライクアクション”と呼ばれるジャンルだ。昨今、このジャンルの作品は多数リリースされているが、本作は少し違うように思う。「死にゲーにほしい要素、だいたい入ってるじゃん!」と、つい声を上げたくなってしまったのだ。 死にゲー好きに親しみやすい内容でありつつ、アクションの素早さと重量感のバランスや、カスタマイズの自由度の高さなど「このシステムっておもしろいよね」、「ここをカスタムできたらいいのになぁ」とかゆいところに手が届く要素が存分に盛り込まれている。 アクションのひとつひとつがスタイリッシュで、もっさり感は控えめ。ただし、一撃一撃の重さはしっかりと表現されている。 また、初見時に印象深かったのはグラフィック面だ。フィールドの描き方はリアル寄りなのに、キャラクターはアニメチックという、独特のビジュアルとなっている。ふつうならデザインの差が目立ってしまいそうだが、違和感はまったく感じさせない。絶妙に馴染みつつも適度にキャラクターが浮いて見えるので、視認しやすいのである。 動かしていてとにかく楽しい、スタイリッシュなアクション アクションゲームだけに、目玉はやはり動かしたときの気持ちよさ。基本的な攻撃方法として、素早く連続攻撃できるクイックアタックと溜めて威力をアップできる強攻撃があり、これらを使い分けながら現れる敵を撃破していく。 敵の攻撃をさばくためには、ガードと回避のふたつを利用する。ガード中はタイミングを問わずにダメージをカットできるため、様子見に適している。回避は無敵時間を利用して敵の攻撃をすり抜け、反撃のチャンスを作れる。 これらの行動にはすべて気力を消費する。気力は時間経過で回復するが、ゼロになると一定時間身動きが取れなくなってしまうので注意が必要だ。 なお、敵も気力ゲージを備えており、ゼロにできれば体勢を崩せるうえ、隙だらけに。強力な攻撃“ブルータルアタック”を喰らわせるチャンスだ。 人型以外のモンスターのゲージは“気力”ではなく“怪力”。時間経過で回復しないという特徴がある。 また、筆者が「めっちゃ楽しい!」とひたすら狙いまくったのがジャストガード。敵の攻撃にあわせてタイミングよくガードすると、気力を消費せずに防げるほか、逆に敵の気力を削れるのだ。 敵の連続攻撃に対して決めればこちらから攻めるチャンスになるし、防ぎ切ったときの快感がすごい。耐えて耐えて、ここぞという場面で攻撃を加えるという、ソウルライクの醍醐味が味わえる。 ジャストガード時は、通常ガード時とは異なる気持ちいい音が鳴るのも、ちゃんと防御できた感がアップしてうれしい。 ただし、ガードできないバーストアタックをくり出してくる強力な敵もいるため、ずっと同じようには戦えない。こういう場合は回避で避けるほか、タイミングよく“カウンター攻撃”をヒットさせれば、敵の攻撃を止められるだけでなく、自身の気力がすべて回復。攻撃のチャンスを生み出すことができる。 さらに、ひりひりするアクションをより奥深くする要素としてスキルがある。これは取得後にスロットにセットして使用する技で、特殊な攻撃をくり出したり、自身にバフを付与できる。 スキルの発動には攻撃や防御、被ダメージなどで溜まっていく闘志が必要だ。敵と戦いながら闘志を溜め、ここぞという時に使いたい。素早く距離を詰めるスキルや、ボタン連打によって強力な連撃をくり出せるスキルなど、試遊版でもさまざまなスキルを使用できた。 スキルごとに必要となる闘志の量が異なり、消費が大きいほど強力な能力を発動できる。また、闘志を溜めるアイテムや、闘志を消費してHPを回復するアイテムも確認できた。闘志の運用は、戦略に大きな幅を持たせるだろう。 ビルドを考えるのが超楽しいカスタマイズ要素 敵を倒すとラクリーマ(経験値のようなもの)を入手でき、これを使ってカザンをレベルアップ可能。こういった強化はマップ各所に存在するチェックポイント“鬼剣”で実行でき、鬼剣は解放すると復活地点としても機能する。 集めたラクリーマは、敵に倒されるとその場に落としてしまう。落とした場所までたどり着ければ回収可能だ。 レベルアップで強化できるのは、活力・持久力・筋力・意志・技量の5つ。強化すると生命力や気力の上限、装備重量など、それぞれの項目に対応したステータスが強化される。どこかの項目を重点的に強化するのか、バランスよく上げていくのか。その判断はプレイヤー次第だ。 試遊を開始したばかりの頃、筆者は圧倒的攻撃力でゴリ押す筋力戦士にするつもりだった。ジャストガードの魅力を知ってからは、気力の回復とガード中の気力ダメージを減らせる“意志”を主軸にしてもいいなと思い、途中からビルドの方針を変更。プレイスタイルに合わせたビルドを考えるのは、こういったジャンルのおもしろさのひとつ。試遊時間内には多くの組み合わせを試す余裕がなかったため、これは発売後の楽しみとしたい。 また、カザンが身に着ける装備もカスタマイズ可能。装備は倒した敵のドロップやマップ各所にある宝箱から入手できるのだが、同名でも性能が同じとは限らない。性能のいいものを厳選できる、いわゆるハクスラ&トレジャーハンティング的な要素となっている。 装備した武器や防具はカザンの見た目にしっかり反映されるのもうれしいポイント。 一筋縄ではいかないからこそいい、ボス戦の数々 ハードコアな死にゲーでやはり外せないのは、手に汗握るボス戦。試遊版では雪男のようなイエトゥガー、ハンマーと燃える杭が驚異的なボルバイノ、変形武器による多彩な攻撃をくり出すランガスの3体と戦うことができた。 プレイにも慣れてきたタイミングで挑んだのだが、やはり一筋縄ではいかず、何度も挑戦しながら攻略法を模索していくことに。「これ避けるの絶対無理じゃん!」と思いつつも、何度も戦って攻撃パターンを覚えていくと、ジャストガードや回避が上手くいくようになり、戦闘がどんどんおもしろくなっていった。 イエトゥガー戦。 ボルバイノ戦。 ランガス戦。 結果としてイエトゥガーは倒せたものの、残りの2体は時間が足りずに撃破ならず。ボルバイノに関してはあと一押しというところまで追いつめていただけに、めちゃくちゃ悔しい……。ぜひ製品版でリベンジさせていただきたい。 筆者はジャストガードの気持ちよさに捉われていたため、とにかく攻撃をガードでしのぎながら攻撃する戦法で戦っていた。ガードだけではしのぎ切れないダメージで苦しい展開に陥ったら回避を主軸に立ち回るなど、もう少し柔軟な攻略法ががあったのかも。 見栄えバッチリな爽快アクションに、何度でもチャレンジしたくなるようなボス戦、いくらでも吟味したくなるようなカスタマイズ要素と、とにかく「やりこみたい!」と思わせてくれるような内容となっていた。とくにアクションゲーム好き、死にゲー好きは病みつきになること間違いなしだ。