プロ野球戦力外通告を受けた男たちで再生可能なのは誰?
ベテランの技術を評価する点では、3度のセーブ王を獲得した日ハムの武田久(38)もそうだろう。 すでに中日が調査に乗り出しているとの一部報道もあるが、今季は3年ぶりに開幕1軍メンバーに入り、ブルペンの一人として抜擢されて7試合に登板、防御率3.68だったが、世代交代のチーム方針により5月5日のオリックス戦を最後に1軍登板機会が与えられなかった。2年前に痛めた膝の故障も癒えてコンディションもよくなっていて、中日など中継ぎを一枚でも厚くしたいチームならば獲得に乗り出す可能性は十分に考えられる。 また好素材の覚醒を探りたいという余裕のある球団ならば、2013 年のドラフトで日本生命から外れ1位で3球団が競合した横浜DeNAの柿田裕太(25)や、2014年のドラフトで、ヤクルトにヤマハからドラフト1位指名された左腕、竹下真吾(26)らは気になる存在。 一方、野手の戦力外組では、“いぶし銀”的な内野手の2人が戦力外になった。広島の梵英心(36)と、西武の渡辺直人(36)の同級生の2人だ。 梵は、広島のほぼ不動の内野陣に割って入る余地はなく、今季1軍出場は1試合もなく、ファームでは、主に三塁手で48試合に出場して、打率.257。渡辺は1軍で32試合に出場して、打率.235の成績で、DHで13試合に先発出場、三塁手での先発出場は6試合にとどまった。 昨年、ヤクルトを戦力外になった田中浩康(35)が、今季横浜DeNAで再生を果たしたが、彼の場合、二塁を守れたのが大きかった。二塁、遊撃を守れるユーティリティープレーヤーを求めるチームは少なくないが、他球団の編成担当者の間では、梵、渡辺は、共に三塁しか守れない点がネックになっているという。それでも渡辺に関しては、打者として小技ができるタイプなので可能性は残っている。 また2011年に盗塁王となった藤村大介(28)も巨人から戦力外となった。今季の1軍出場機会はなかったが、ファームでは104試合に出場、打率.281、20打点、10盗塁の成績を残している。主に二塁、三塁を守った。二塁を守れる点は“買い”で、調査に乗り出す球団は出てくると思われる。 外野手では、横浜DeNAの下園辰哉(32)が、目につく一人。今季は体調不良で開幕に出遅れ、1軍での出場はわずか8試合でヒットは1本のみ。ファームでも63試合で打率.213と低迷したが、2016年のシーズンには、代打でセ・リーグトップとなる11打点を挙げて、左の代打の切り札として重宝されていた。 若手の戦力外組を見ると、健大高崎高時代に甲子園で活躍、イチローなみの打撃センスの持ち主として注目を浴びていたロッテの脇本直人(21)がたった3年で戦力外になった。今季のファーム成績は、100試合で打率.145、1本塁打、14打点、3盗塁。3年が経過してパワー不足を解消できない部分が限界と判断されたのだろう。今後、育成契約されるかどうかわからないが、再挑戦の舞台を与える球団が出てきてもおかしくない。 “美味しい”戦力外選手は、来月中旬に予定されている12球団トライアウトの前の段階で“唾”をつけられ、トライアウトには参加しないパターンとなるが、戦力外となった男たちの第2ステージに注目したい。