意外と多い「留年・中退」、大学選びを間違える原因 目の前の入試対策ばかりに捉われていると危険
高校の進路指導でできることは?
大学合格ではなく、その後の成長をゴールにする。目の前の入試をいかに乗りきるかではなく、この先、どんな自分になりたいかを考え続ける。そうした進路指導を、高校3年間の中で積み上げていくことが大切です。 具体的に工夫できることもあります。私はいつも進学ミスマッチをなくすという観点で、以下の3点を整理しての指導をオススメしています。 (1)学問理解・職業理解 →学ぼうとしている学問や職業分野の内容を理解すること。カリキュラムや扱うトピック、どのような仕事につながるかなど、「何を学ぶか」の理解。(2)学校理解 →同じ学問でも大学によって教育目的や授業のあり方、学習環境などは違う。それらを比較し、各大学の特色を理解すること。「どこで学ぶか」の理解。(3)自己理解 →自分はなぜそれを学ぶのか、学ぶことでどうなりたいかを改めて考え、自分について理解すること。「なぜ学ぶか」の理解。 夏休み中のオープンキャンパス参加を生徒に勧める高校は多いのですが、事前指導、事後指導が大切です。 文理選択を控えた高校1年生であれば、(1)の学問理解・職業理解が大切になるでしょう。文理それぞれの模擬授業を幅広く受講せよといったアドバイスが考えられます。2、3年生なら、環境が対照的な大学を選んで比較してみよといった指導を行うことで、(2)の学校理解が深まります。 中退率のような大学進学後の実態を伝えるデータを調べさせるのもおすすめです。各大学が行うサマープログラムや、普段の授業を高校生に開放する「WEEKDAY CAMPUS VISIT」などの取り組みに参加させると、(3)の自己理解に役立ちます。 予算や労力を割かずとも、工夫次第でミスマッチを抑制することは可能です。まずはできるところから実践していただければと思います。 (注記のない写真:EKAKI / PIXTA)
執筆:進路指導アドバイザー、追手門学院大学 客員教授 倉部史記・東洋経済education × ICT編集部