日本の動画コンテンツ市場、どう勝ち抜くか(1)動画はネットで観る時代に
長らく動画メディアの主役だったテレビでは、若者の「テレビ離れ」が進んでいる。このままいけば視聴者数が減少するのは避けられない。一方、存在感を増しているのが、インターネットを使った動画配信サービス会社だ。今後、同サービスの市場規模は拡大するとの予測もあり、動画コンテンツ市場は今、変化の時代を迎えている。 【連載】日本の動画コンテンツ市場、どう勝ち抜くか
若者のテレビ視聴時間が減少
若者のテレビ視聴時間が減りつつある。総務省の「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、テレビ視聴の平均利用時間(平日)を2012年と2016年とで比べた結果、10代では102.9分から89.0分へ、20代でも121.2分から112.8分といずれも減少した。これに対して、インターネットの平均利用時間は、10代で108.9分から130.2分へ、20代で112.5分から155.9分へといずれも増えている。若者が持つ時間の奪い合いで、テレビは劣勢に立たされている。 実際、電車の中や街角で、スマホで動画コンテンツを視聴している人の姿を見る機会が増えた。筆者の身内にも、親元を離れてマンションで暮らす男子大学生がいるが、部屋には冷蔵庫や本棚はあっても、テレビはない。スマホやパソコンで動画コンテンツを楽しんでいるという。彼が契約するのは、一定の金額を支払えば動画コンテンツが見放題になる定額制動画配信サービス(Subscription Video on Demand:SVOD)を提供するNetflixだ。
ライフスタイルを変えたアマゾン、Netflixの参入
2015年9月、Netflixとアマゾンジャパンは日本市場でSVODを開始した。2社の日本上陸前にも、日本ではU-NEXTなどの動画配信サービス会社が事業を展開していたが、ある動画配信サービス会社の幹部は「アマゾンジャパンやNetflixの参入により、有料で動画コンテンツをオンデマンドで視る、という行為が当たり前になってきた」と、2社の影響力の大きさを率直に認める。 市場調査会社GEM Partnersは2月、2017年の動画配信サービス市場規模が前年の1630億円から1829億円に拡大したとの推計結果を発表した。同社は、Netflixとアマゾンジャパンの2社が市場拡大を牽引していると分析している。市場は今後年平均7.2%で成長し、2022年には2594億円に達すると見込む。 2016年8月には、デジタルメディア事業を展開する英パフォーム・グループが、日本でスポーツ専門の動画配信サービス「DAZN」を開始。それまで衛星放送のスカパーJSATが持っていたJリーグ全試合の独占放映権を、Jリーグと交渉の末、パフォームが獲得し、話題となった。