内田篤人、長友佑都、酒井宏樹から得た「大切な財産」とは? 酒井高徳が語る偉大な3人とのライバル関係
夢を実現させた人が成功者
フットボーラー=仕事という観点から、選手の本音を聞き出す企画だ。子どもたちの憧れであるプロフットボーラーは、実は不安定で過酷な職業でもあり、そうした側面から見えてくる現実も伝えたい。今回は【職業:プロフットボーラー】酒井高徳編のパート4だ(パート5まで続く)。 【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「 J歴代ベスト11」を一挙公開! ――――――◆―――――◆―――――― 「自分は成功者ではない」と言い切る酒井高徳選手にとって、「成功の基準」とは何なのか。 「キャリアが終わるまで分からないですよね」 確かに、この質問は現役を引退した選手に訊くべきなのかもしれない。それでも持論を展開してくれるところが、プロの戦士、酒井高徳である。 「子どもたちによく言うんですよ。プロになるのは難しいけど、それ以上に難しいのがプロであり続けることだって。僕の経験上、そこを理解できていないルーキーは少なくないですね、高卒も大卒も同じように」 高校・大学時代に「超逸材」と騒がれていた選手がプロの世界ではパッとせず、いつしか消えてしまうケースは多い。 「プロになれて、お金をもらえた。余裕がある、時間がある、遊ぼう。毎年、そうやって潰れる選手が何百人もいる事実から察すると、プロとしての自覚が足りないのかなと。これはサッカーに限った話ではなくて、どのスポーツ、どの職業においても当てはまります。結局、そういう人はそこまでで、僕はその部類の選手たちと違う頑張りをして、ここまでプロフットボーラーを続けてきました」 ただ、ここからパフォーマンスを落としたら意味がないと、そういう覚悟が酒井選手にはある。 「どんどん落ちて行ったら酒井高徳という選手を覚えている人は段々と少なくなります。引退まで試合に出続けて、活躍できればそうはならない。じゃあ、何が成功かと言われれば、ひとつは最後までみんなに覚えてもらえるような選手でいることかなと」 それを聞いて、「相当ハードルが高い」と思った。引退するまで活躍できる選手なんて、ひと握りしかいないからだ。 もっとも、これは酒井選手が考える「成功の基準」の“ひとつ”で、そこから見えてくるのはプロとしての彼の生き様。誰よりも自分に期待し、そして厳しく接してきたスタンスが見え隠れする。 あえて“ひとつ”と強調したのは、酒井選手自身の「成功の基準」は別にあるからだ。 「自分に限った話をすれば、僕はもう成功者になれない。ヨーロッパのビッグクラブでプレーする夢をここから叶えるのは正直、難しいです。その意味で、僕は成功者ではないんです。夢を実現させた人が成功者なんじゃないですか。とにかく日本で何か成し遂げることは可能なので、引退するまで全力を尽くして、最後笑って終えられた時に初めて、『ちょっとは成功したかも』と言えるかもしれませんね」
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