朝ドラ『虎に翼』で39歳俳優が“自分の間違いに気づいたときの一言”に感動!声を張り上げて
「失言だった!」の一言に感動
決闘ついでにいうなら、竹もとは寅子と桂場にとって因縁の場所でもある。寅子が法律の道を志して、明律大学女子部に入学する前から、この場所では大小のドラマ(戦い)が繰り広げられてきた。その一つひとつが決闘であり、その間、桂場は何度トレードマークのへの字型の唇を八の字型にゆるめたり、戻したりしたことか。 寅子が所長室で桂場と面会した場面で、「共亜事件のあと、私、桂場さんに法とは何かというお話をしたんです」と言った、その「お話をした」場所も竹もとだったと記憶している。だから、あんこ団子への異常なこだわりを持つ桂場の決闘場面が描かれるにはここしかないのである。 でもこだわりの面で桂場の上をいくのが、寅子という人である。第103回、航一からのプロポーズを受けると結婚によって名字が変わることに悩む寅子が、妙案として仕事上の姓は佐田のままにできないかと桂場に相談しに行く。 桂場は「なぜそんなくだらんことにこだわるんだ」と聞く。これに寅子がカチン。「なぜこだわる? はて」と口火をきる。激しい口調で「私のこだわりをくだらないと断じられる筋合いはありません」と抗議する。桂場はしまったという顔で「失言だった!」と声を張り上げる。この一言には感動した。 自分の失言はその場ですぐに謝る。後から問いただされて「記憶にありません」だとか「嫌な気持ちにさせたなら」なんて曖昧なフレーズは出さず、即座にきっぱり。「あんこの味」にあれだけこだわる人は、発言の潔癖さにもこだわる人なのだ。 <文/加賀谷健> 【加賀谷健】 音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
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