輿石東氏パーティーに与野党重鎮、麻生太郎氏「泉氏指導を」 小沢一郎氏「政権崩壊近い」
旧民主党で幹事長を務めた輿石東元参院副議長(87)が12日、東京都内のホテルで回顧録「疾風に勁草を知る」(私家版)の出版記念パーティーを開いた。老獪(ろうかい)な立ち回りで「参院民主のドン」として君臨した輿石氏。政界引退から8年も与野党の垣根を越えて大物が駆け付けた。さながら民主党政権の与野党同窓会の様相を呈する中、出席者は自民党の麻生太郎副総裁を意識したかのような発言が相次いだ。 【写真】鳩山由紀夫元首相と話し込む立憲民主党の小沢一郎衆院議員 ■約200人の多彩な顔ぶれ 「人と人が出合い、心と心が通じ合ったとき、信頼が生まれる。政治も経済も教育も人と人のつながりから成り立っている。本当に胸いっぱいだ。その一言に尽きる」 登壇した輿石氏は短くこうスピーチすると、来場者やスタッフらに感謝の意を伝えていた。 輿石氏は小学校教諭や山梨県教組委員長を経て、平成2年の衆院選に旧社会党から出馬し初当選。10年以降は参院にくら替えし、参院議員会長として民主党参院を引っ張った。 「教育の政治的中立はあり得ない」などと述べ、自民保守系議員らに敵視されたこともあった輿石氏だが、会場には約200人の多彩な顔ぶれが並んだ。 主賓席には麻生氏、自民党の古賀誠元幹事長、旧民主党の鳩山由紀夫元首相、菅直人元首相ら。ほかに野田佳彦元首相、北沢俊美元防衛相、川端達夫元文部科学相、自民党の甘利明元幹事長、石井準一参院国対委員長らも駆け付けた。 ■泉氏、挙党態勢の構築呼びかけ 開会のあいさつに立ったのは立憲民主党の泉健太代表。 「大同窓会のような、さながら党大会のような雰囲気を思い出した」と旧民主党の〝先輩〟を持ち上げると、「風に耐え抜き、その時こそ真価を問われる」と「解散風」を念頭に挙党態勢の構築を同僚議員に呼びかけた。 自民党を代表して祝辞を述べた麻生氏は、輿石氏の器量について「『これは』と思ったことを曲げずに通して、立場がどうであろうときちんとやっていかれる姿勢があると政治家として大成していくものだと印象に残っている」と評し、「いましゃべっておられた泉先生あたりをしっかり指導していただいてほしい」と述べ、他党党首の指導を呼びかける余裕を見せた。 すると民主党代表などを歴任し、政権交代に執念を燃やす立民の小沢一郎衆院議員が乾杯の発声で、麻生氏をこう牽制(けんせい)する。