巨人連続V間近。その強さはやはり原辰徳。やりくりと采配の妙で独走よ【岡田彰布のそらそうよ】
終盤戦の楽しみは個人タイトルやな
実績十分の原監督[写真中央]は、今季若手をうまく起用しながら、そしてトレードを生かし独走状態を作った。さまざまなバイオリズムを最高値にしたよ/写真=高塩隆
監督の仕事って、なんだろう。8年の監督生活で、オレは仕事、責任のことを、ずっと考えていた。もちろんチームを勝ちに導くこと。これは必須であり、そのための準備は怠らない。もし優勝を逃した場合、どうする? 考えを来季に移すことも必要だが、一方で選手を幸せにする責務がある。そう、給料を上げてやることを考える。選手それぞれ、金を稼がせたい。そういうことも、現場の監督の仕事ではないか。 例えば個人タイトルが掛かった選手がいたとしよう。タイトルはなかなか手にできるものではない。だから時として、全面的に後押しするのも監督の考えひとつ。阪神監督時代、こんなことがあった。藤川球児にセーブ王のチャンスがあった。シーズン終盤、ある試合で8回表を終えて3点リード。9回は球児を送り、セーブを増やす。ところが8回裏、得点のチャンスが訪れた。ここで点が入れば球児にはセーブがつかない。そこでオレはチャンスで打席が回ってきた小宮山(小宮山慎二)に指示した。「三振してこい!!」。投手によく出す指示だが、野手に対して三振指令。バッターも理解してくれたし、計算どおり、その試合で球児はセーブ数を増やした。 ペナント自体、消化試合のようになっているが、個人の戦いは佳境を迎える。阪神の場合、・・・
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週刊ベースボール