「カプセルトイ」専門店が急増中なのはなぜ? 日本ガチャガチャ協会代表を直撃!
◆代理店がカプセルトイ専門店を作り始めた! ――ちなみにカプセルトイ専門店が増えたのは、コロナ禍とは関係あるんですか? 小野尾 コロナ禍当初は、筐体に手が触れるというので、むしろ撤去させられたり、使えなくさせられたりするところも多かったんです。だから売上の推移を見ていると、2020年の7月くらいに一度へこんでいる。カプセルトイは3か月前に受注を取って、その数だけ生産する受注生産なので、コロナ禍の開始から少し遅れて売り上げが落ちました。 ただその後すぐに『鬼滅の刃』の映画(『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』、2020年10月公開)が公開されて、その頃から少しずつ筐体の使用も解禁されて、『鬼滅』関連商品は爆発的に売れました。 ちょうどその前後から、専門店も増えてきたんです。それ以前もあったんですが、例えば2017年に1号店をオープンさせた「ガチャガチャの森」はキレイで明るい店づくりで、2018年以降に一気に店舗数を増やしました。 ――やはり人件費や電気代がかからないのが大きい? 小野尾 そこは非常に大きいですね。それに毎月400以上の新商品が出るから、商品ラインナップもすぐに充実しますし、メーカーと販売店の間に代理店が入って、商品の補充や入れ替えをやってくれるので、いろんな意味で効率がいいんだと思います。 実はカプセルトイ専門店が増えてきたもうひとつの理由に、その代理店が専門店をやってるケースが増えてきてる、というのがあります。渋谷のセンター街にもお店がある「#C-pla(シープラ)」は、トーシンという北海道の代理店が運営しているんですけど、代理店業からだんだん店舗の運営にも比重を置いていった。代理店は自分たちでどういう商品がどれくらい売れるか把握してるので、利益を出しやすいんです。 ――なるほど。メーカーはどういう方針なんでしょう? 小野尾 例えば「ウルトラニュープランニング」(女性向けアイテムが多い)というメーカーのように、プライズ景品景品を扱っていたところがカプセルトイも扱うようになったケースは多いですね。扱う商品やお店が似ているので参入しやすいし、カプセルトイとプライズを両立することで売り上げのバランスも取りやすいと思います。 その一方で、「奇譚クラブ」(コップのフチ子シリーズなど)とか「スタンド・ストーンズ」(キャラものやクルマなど)、「アイピーフォー」(女性向けグッズ中心)など、カプセルトイだけにこだわって作っているところもありますね。 今のメーカーは何を考えてるかっていうと、カプセルトイのシリーズをひとつのブランディングだと思っていて、そのブランドをSNSで拡散してもらったり、メディアに取り上げてくれてもらったり、そういうことに期待しているメーカーが多いと思います。 ――ちなみに、カプセルトイの利益率というとどれくらいなんですか? 小野尾 300円の商品だとすると、メーカーから代理店が約50%で買って、設置店に約15%の設置料を支払います。そうすると、代理店は105円くらいの儲けということになりますかね。 ただ、代理店のオペレーターは1人で80件くらい持っていて、クルマであちこち回って、ガソリン代や駐車代もかかります。だから意外と効率が良くない。そこで、どの代理店もカプセルトイの専門店を作り始めたということなんです。 これまでのカプセルトイって、スーパーのエスカレーターの横とかにあってが、どこにどの商品が置いてあるか分からなかったですよね。でも、今は「あそこのイオンに『ガチャガチャの森』があるから、今度アレを回しに行こう」「センター街の『#C-pla』に行ったら、また何か面白いものがあるんじゃないか」ってなる。そっちのほうが、お客さんも代理店も効率が良いので、今そういった専門店が500店舗以上あって、どんどん増えていってるんです。 専門店のいいところのひとつが、両替機があるところ。普通の空きスペースだと両替機がないから、百円玉が足りないと「じゃあやらなくていっか」ってなりますよね。専門店だと1万円札しかなくてもお金を崩せるのは大きいです。