《すぐ使える対策法》関西No.1「ゴッドハンド」治療家・仲谷健吾氏が伝授する ″最強の腰痛体操″
日本整形外科学会の調査によれば、国内に腰痛持ちは約3000万人。実に日本人の4人に1人が悩む″国民病″に敢然と立ち向かってきたのが治療家・仲谷健吾氏(45)だ。「どこに行っても良くならない人の最後の砦」として奈良に治療院を構え、北は北海道から南は沖縄まで、海外からも治療のために同氏のもとを訪れる人がいるという。 【写真で解説!】今すぐやってみて…!関西No.1「ゴッドハンド」が伝授する「最強の腰痛体操」 仲谷氏の名を轟(とどろ)かせたのは、’14年に放送されたテレビ番組『Dr.なんぼでっか!?』(毎日放送)の企画「ゴッドハンド頂上決戦・腰痛篇」だった。慢性腰痛で自分で靴下も履けなかったお笑い芸人「TKO」木下隆行(52)の痛みをわずか3分で消すなど、関西の整骨院1万756軒の頂点に選ばれ、「ゴッドハンド」の名声を得た。そんな腰痛のスペシャリストに今回、一日たった5分で劇的に改善する腰痛体操を5つ、伝授してもらった。 「腰痛には『急性的なもの』と『慢性的なもの』があります。急性的なものはいわゆるぎっくり腰で、痛みでまともに歩けなかった方でも1回の施術で治せます。しかし『慢性的な痛み』は、施術によって一時的に痛みをゼロにできても、しばらくすると症状が出てくる可能性もあるので、日々のメンテナンスが必要です」(以下、「」の発言はすべて仲谷氏) 厚生労働省によると腰痛の85%は原因不明だというが、仲谷氏は「腸腰筋(ちょうようきん)に痛みの原因がある」と指摘する。「痛い場所に必ずしも原因はない」という考え方が、他の治療家との大きな違いだ。 「デスクワークなどで長時間同じ姿勢をしていると、股関節の前にある腸腰筋が縮んで固まってしまう。すると骨盤が前傾して腰椎がお腹側に引っ張られて、反り腰になりやすい。その歪みによって腰の一部に負担がかかり、痛みが出てしまいます。腰椎を正しい位置に動かす治療が今の主流で痛みはそれでも取れますが、歪みの大元である腸腰筋の収縮を直さなければ根本的な解決にはなりません」 腸腰筋とは腰椎から腹腔内を通り、大腿骨の上方へ向かって斜めに走る筋肉。腸腰筋を緩める体操は2つある。 「カエルちゃんポーズ」は寝たまま取り組める体操だ。うつ伏せの状態から上半身を起こし、肘を90度の角度にして立てて上半身を支えながら、カエルのように足を開いたり閉じたりを繰り返す。腸腰筋の伸展を促し、朝起きてすぐに取り組めるのがポイントだ。 「すべり台ポーズ」は椅子の背もたれに腕をかけ、上半身を立てた姿勢で足を前後に大きく開く。股関節の前側を意識しながら左右交互に行う。 腸腰筋を意識したこの2つは、ぜひやってほしい。それ以外にも時間に余裕があればオススメしたい体操がある。 腸腰筋と並んで仲谷氏が腰痛対策に効果があると注目するのが大臀筋(だいでんきん)だ。 「腰痛体操で伸ばしたい腸腰筋は股関節の前側にある。腸腰筋が縮む、ということは反対側にあるお尻の筋肉、大臀筋は伸びていることになる。大臀筋には神経や血管が数多く通っていて、伸び切ってしまうと大臀筋は血流障害をおこし、酸欠状態になる。お尻の筋肉が疲労すれば、その上にある腰にも負担がかかるのです」 仲谷氏が大臀筋を伸ばす体操として紹介するのが「4の字ポーズ」だ。骨盤を立てて真っすぐ立ち、お尻をつき出すようにして浅めに椅子に座る。膝を90度に曲げて、片方の足首を反対側の足の膝に乗せて上半身を倒す。膝に乗せている足首に向かってへそを押しつけるイメージで上半身を倒すとお尻の筋肉が突っ張るのがわかる。腰に負担をかけず、座りながら伸ばせるのが利点だ。 「腸腰筋と大臀筋をストレッチするだけでも十分効果は得られますが、足の横側にある腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)も緩めてあげることで前、後ろ、横の3方向からバランスがよくなり、骨盤が正しい位置で安定する。腰に負担が掛からなくなります」 腸脛靭帯は体の真横、骨盤から膝までタテに伸びる靭帯で、マラソンランナーが炎症を起こしやすい部位としても知られている。腸脛靭帯を緩める「アイロンマッサージ」も椅子に座って手軽にできる。太ももの横側、足の付け根に近い部分を手で触ると固い骨のでっぱりを感じるはずだ。そこに掌底をあて、痛みを感じるくらいの力で押しつけながら太もも横をこするのがポイントである。 一般的に、腰痛の大きな原因の一つとして考えられているのがストレスだ。 「腰痛とストレスは全くの無関係、とは言い切れません。ストレスを感じて自律神経が乱れると、血管が収縮するので血流が悪くなる。血行不良によって筋肉が硬くなると、腰痛の原因になります」 ストレスを感じたら「カニさんポーズ」が有効だ。胸の前で指を左右交互に深く組み、グイグイと動かすことで親指の第一関節と付け根の間、人差し指から小指までの第二関節と付け根の間にある血管が刺激され、自律神経が整う。 写真を参考にして、「最強の腰痛体操」を試してほしい。 ◆なかたに・けんご TOESTなかたに鍼灸整骨院グループ・少数精鋭治療家集団Ⓡ代表。接骨院勤務後、’05年に開業。総床面積120坪の敷地に21のベッドを完備。リピート率は99%を誇り、施術人数はのべ12万人以上。著書に『「言葉」を変えれば体の「痛み」が消える!』がある 『FRIDAY』2024年2月16日号より 取材・文:奥山典幸
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