兼六園周辺にイノシシ 防犯カメラに走り去る姿 朝に目撃続々、けがや被害なし
12日午前8時半ごろ、金沢市兼六町から石引に掛けてイノシシの目撃情報が相次いだ。体長約1メートルの雄とみられ、石川橋下のお堀通りを横切り、紺屋坂を上った後、兼六園横の市道を石引方面へと走り去った。北國新聞社が入手した防犯カメラの映像には、兼六園周辺で人の背後を駆け抜けるイノシシの姿が捉えられていた。市中心部では8日にもイノシシが目撃され、専門家は「複数の個体が入り込んでいる可能性もある」と警戒を呼び掛けている。 【動画】兼六園周辺で目撃されたイノシシ 市農業水産振興課に寄せられた目撃情報をまとめると、イノシシは午前8時29分ごろ、白鳥路付近から兼六園方向へ車道を横切り、紺屋坂へ向かった。その後、同31分ごろ、兼六園上坂口付近の市道を石引方面に走る姿、同37分ごろに金沢医療センター前の車道を小立野方面に向かう姿が目撃された。 けが人や施設などの被害は確認されてない。 兼六園桂坂口付近の防犯カメラ映像には、体長約1メートルのイノシシが人通りのほとんどない紺屋坂の歩道を足早に進み、道路に立つ人に目もくれずに石引方向へと向かう場面が記録されていた。 動画に映る兼六園観光案内所の職員伊藤真弓さん(70)は午前8時半ごろ、案内所前の掃き掃除をしていたところ、背後をイノシシが通った。伊藤さんは「パッタパッタと大きな足音が聞こえたので、大型犬かと振り返ったらイノシシだった。突進されてたらと思うと、ゾッとした」と振り返る。 イノシシが向かった方向には、通行人が2人いたが、何事もないように避けて、石引方面へと走り去ったという。伊藤さんは「ジョギングみたいに走っていった。観光客も少なかったし、開園中の兼六園に入っていかなくて良かった」と胸をなで下ろした。 兼六園に観光で訪れた会社員コルネホ真衣さん(42)=三重県伊勢市=は「こんな街中で出るとは。人が多いところなだけに怖い」と驚いた様子だった。 イノシシの出没を受け、市は防災メールや防災無線で注意を呼び掛け、日没まで職員2人がパトロールした。金沢中署員も巡回した。金沢城・兼六園管理事務所によると、兼六園内では出没の痕跡は確認されず、通常通り開園した。 市中心部では8日、本町1丁目の県道でイノシシ1頭が車と接触するなど目撃が相次いだ。