フランク・ロイド・ライトが設計した「世界一の豪邸」は豪邸建築家・松山将勝さんも憧れた水もしたたる美しい建築!
建築家・松山将勝さんは奄美大島出身。福岡を拠点に、全国各地でダイナミックかつ繊細な魅力を放つ人に優しい邸宅をはじめクリニックなども多く手掛けています。今回はそんな松山さんが選ぶ「世界一の豪邸」です。 【写真で見る】建築家・松山将勝さんが選んだフランク・ロイド・ライトの傑作住宅
松山さんが選んだ”世界一の豪邸”は「落水荘」(アメリカ)
「近代建築の三大巨匠の1人であるフランク・ロイド・ライトの代表作である「落水荘」は、90年近く経った今でも、色褪せる事なくその存在感を示し続けています。 自然との調和、自然に溶け込む空間が重要であると唱えたライトの哲学ともいえるオーガニック建築の最高傑作である落水荘は、滝の上に建築を建てるという大胆な発想で、滝の音や森の表情が人間の五感に深く浸透するように構想されており、建築が自然と共生できる事を実証した作品です。水平線が強調された外観は、誰しもが一度は目にした事があると思いますが、川側に大きく張り出したテラスがその形態を決定づけており、どの部屋からもテラスを介して空間と自然が有機的につながっています」
「また、ライトが日本文化に深く興味を示した事は有名な話ですが、室内の天井高さをあえて低く抑える事で、水平に広がる森に意識を向かわせているのは、日本の伝統的建築と庭園の体験から導かれたものでないか。と私は捉えています。そしてライトが60代後半だった頃に、この建築が生み出されているという事実も私に大きな勇気を与えてくれます」
設計者は近代建築の巨匠!フランク・ロイド・ライト
フランク・ロイド・ライト(1867-1959)は、アメリカのウィスコンシン州出身。ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエと並んで近代建築の近代建築の巨匠として知られています。この「落水荘」をはじめ2019年に世界遺産に登録されたニューヨークの「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」、日本でも「帝国ホテル二代目本館(現在は博物館明治村に一部移築保存)」や「自由学園明日(みょうにち)館」などを手掛けました。浮世絵コレクターでもあり、日本と縁の深い建築家の1人です。
松山さんにとっての「豪邸」とは?
「豪邸といえば、『大きな家』や『豪華なインテリア』という言葉が連想されますが、大きさや豪華さといった見た目の印象ではなく、建ち上がる空間に特別な世界へと導く『質』が備わっているか。その視点が豪邸を定義づけるうえでは重要だと考えます。 それは、建築の品質はもちろんのこと、光や素材の質感によって自然の移ろいを感じたり、その表情の一つひとつによって想像を超えた暮らしに導いてくれる空間です」