阪神水道企業団汚職 収賄容疑の主査、別工事の見積書も受領か 業者側が便宜継続求めたか
阪神水道企業団(神戸市東灘区)が発注した浄水場の補修工事を巡る贈収賄事件で、収賄容疑で逮捕された猪名川浄水場管理事務所の主査の男(46)が、贈賄側の業者から現金を受け取った際、入札の実施が今後見込まれる別工事の見積書も手渡された疑いのあることが15日、捜査関係者への取材で分かった。業者側が別工事でも便宜を求めた可能性があり、兵庫県警は経緯を調べている。 【写真】阪神水道企業団から押収資料を運び出す捜査員 県警によると、男は、企業団が9月上旬に実施した尼崎浄水場(尼崎市)内の舗装補修工事の入札で、贈賄容疑で逮捕された男(52)が役員を務める土木工事会社「金山組」(尼崎市)が受注できるように便宜を図った見返りに、同月下旬ごろ、現金20万円を受け取った疑いが持たれている。 捜査関係者によると、現金の授受は猪名川浄水場で行われたとみられ、役員の男はその際、今後入札がある別工事の見積額を記した書類も一緒に、主査の男に手渡した疑いがあるという。 問題の舗装補修工事の入札を巡っては、実質的な担当者だった主査の男が事前に、金山組を含む3社に見積もり合わせを実施。意図的に金山組の見積額を入札予定価格に採用し、落札しやすいように便宜を図った可能性があるという。 実際、条件付き一般競争入札に参加した5社のうち、4社は500万円台を提示し、下限額に当たる「最低制限価格」(626万9千円)を下回って失格となったが、金山組だけが同価格を上回る金額で落札した。 役員の男が渡したとされる別工事に関する書類について、県警は、今後も同様の取り計らいを受けたい趣旨があったとみて調べる。 県警は15日、収賄容疑で主査の男を、贈賄容疑で役員の男を、それぞれ送検した。