JR西、明石の新幹線車両基地の整備を断念「コロナ禍前の利用水準に戻らず」 市に伝達 兵庫
JR西日本が明石市の神戸線大久保-魚住間で計画していた新幹線車両基地について、整備を断念したことが15日、同社や明石市への取材で分かった。山陽新幹線の利用状況がコロナ禍前の水準まで回復していないことなどを踏まえた判断という。 【写真】新幹線の上を地下鉄が走る 日本で唯一、レアな瞬間 計画が表面化したのは2019年11月。リニア中央新幹線の大阪延伸で、山陽新幹線の需要拡大を見込み、37年までに約30ヘクタールの基地を整備する構想だった。在来線の新駅や宅地、商業地の開発も検討していた。 JR西は、20年3月に計画案を明石市に示す予定だったが、コロナ禍で延期に。市は今年5月、現状と今後の見通しを尋ねる文書を同社に提出。今月6日付でJR側から中止を伝えられたという。 基地の計画が浮上した地域は近郊農業の優良地で、市が生産性の向上を目指し、大規模な農業用水のパイプライン整備を予定していたが、計画を受けて凍結していた。市政策局の山口泰寛プロジェクト部長は、今後について「住民にしっかり説明し、地元の声を聞いて方向性を検討する」とした。 JR西は「早急な車両基地の整備が必要ではないと判断した」としている。(谷川直生、大島光貴)