バリバリ竹を割る音、息づかい…アドベンチャーワールドのパンダ4頭のかわいすぎる1日のルーティーン
1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。 【画像】現在は4頭!「浜家(はまけ)」のパンダの愛らしい写真を見る(全10枚) 「CREA」2024年夏号の「猫のいる毎日は。」特集。その一部を抜粋し、掲載します。 「浜家」(はまけ)の愛称で親しまれているアドベンチャーワールドのパンダ。一日の様子をのぞいてみました。
のびのび暮らすパンダに会いに
海に面した自然豊かな和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールド。ここではジャイアントパンダが竹をバリバリ割って食べる音や鳴き声、息づかいまで聞こえる。 初めてパンダが来たのは1988年で3カ月滞在。そして94年9月6日に中国・四川省の成都ジャイアントパンダ繁育研究基地から2頭(永明と蓉浜)が来園してパンダの「日中共同繁殖研究」が始まり、17頭が生まれ育った。中国を除き世界最多だ。研究は9月に30周年を迎える。 現在は、パーク内で生まれた良浜と3頭の娘が暮らす。パンダの飼育スタッフ8人のうちのひとり、中谷有伽さんに平均的な一日の主な仕事を尋ねた。 朝は午前9時ごろ出勤してパンダの顔つきをチェックし運動場に出したら寝室を掃除。午前10時に開園する。そのため開園直後はパンダが起きていることが多い。
夕方、公開を終えたら…
夕方、公開を終えたらパンダを寝室に移して運動場を掃除し、パンダが夜間に食べる竹を準備して退勤。 合間に竹の交換や24時間分の録画の確認・記録をするほか、日によってパンダのトレーニング、健康管理の採血や体重測定、竹の搬入なども行う。 楓浜以外の3頭は発情が確認されている。ただ、パーク内で生まれ育った17頭のうち、良浜を除く16頭の父親の永明が昨年2月22日に中国へ戻った。以来、オスがいないので、アドベンチャーワールドへの、オスの来園を望んでいる人も多い。
飼育員の、パンダをめぐる目標は?
17頭のうち13頭は中国へ渡り、繁殖したパンダもいる。 「『アドベンチャーワールドの遺伝子』を持つパンダがいずれ野性復帰することを目標にがんばっています」(中谷さん) 絶滅が危ぶまれるパンダの未来につながるかもしれない。 ●良浜(らうひん)メス/23歳 2000年9月6日生まれ。丸顔と大きく丸い耳が特徴。体重は約110kg。食べることと寝ることが大好きだが、育児中は子どもに愛情を注ぐ。永明との自然交配により7回の出産で10頭を生み育てた。 ●結浜(ゆいひん)メス/7歳 2016年9月18日生まれ。頭のとんがりが目を引く。父の永明に似て四肢が長い。 「最近すらっとしてきた体型も永明似。性格は穏やかで人懐っこく、飼育スタッフのことをよく見ています」(中谷さん) ●彩浜(さいひん)メス/6歳 2018年8月14日生まれ。出生時の体重は、平均の約100~200gを下回る75gしかなく、生存が危ぶまれたが、ケガも病気もせずにすくすく成長。貫録があるように見える座り方も観覧者から人気がある。 ●楓浜(ふうひん)メス/3歳 2020年11月22日生まれ。出生時はオスだと判別されたが、後にメスだと確定した。目の周りの黒い部分の端が外向きに跳ねて、頭のてっぺんは少しとがっている。体重は24年4月30日に初めて100kgを超えた。 アドベンチャーワールド 所在地 和歌山県西牟婁郡白浜町堅田2399 電話番号 0570-06-4481(ナビダイヤル) 営業時間 10:00~17:00※季節により異なる 中川美帆(なかがわ・みほ)さん 経済誌の記者を経て、国内外のパンダの生態や歴史などを取材し記事を書いている。これまでに23カ国・地域の41カ所のパンダの飼育施設を訪れた。著書に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。 パンダワールド We love PANDA 定価 1,650円(税込) 大和書房 K-POP界のレジェンド、ドンヘさん、ウニョクさんをお迎えしたスペシャルインタビュ―、JOさんと愛猫ミントの貴重な2ショット、SNSで話題沸騰中のマンガ『猫に転生したおじさん』作者・やじまさんによる特別描きおろしマンガ&シール付録など、「猫のいる毎日は。」特集は「CREA」2024年夏号でお読みいただけます。
中川美帆