高校サッカー、J内定の注目の4人
第93回高校サッカー選手権大会の1回戦を経て勝ち残ったのは32校。2015年1月2日に行われる2回戦からは、いよいよシード校も登場する。今回は、その32校から、“正月の風物詩”を彩るJリーグ加入内定の注目選手たちを紹介してみたい。 まずは東福岡(福岡)。開幕戦で三鷹に2-0で勝ち切った優勝候補筆頭チームには二人のJリーグ内定選手がいる。「ヒガシのクリロナ」の異名を取るヴィッセル神戸内定のMF増山朝陽は、抜群のスピードと運動能力の高さを武器にサイドを切り裂くウインガー。「和製○○」のような呼称は実態とフィットしないものも少なくないが、増山の場合は確かにプレースタイルをよく象徴している。強烈なシュート力に加えてジャンプ力もあり、逆サイドからのクロスにいとも簡単に競り勝つ“高さ”も印象的だ。小器用なタイプではなく、「未完の素材」。それゆえに組織的パスワークを重視してきた近年の年代別日本代表の経験はないが、持っている資質は十分に“東京五輪代表候補”と言えるだけのモノがある。 またチームの主将であるMF中島賢星は横浜F・マリノス内定。もともと小学生時代は横浜FMの下部組織でプレーしており、6年の空白を経ての“里帰り加入”という珍しい形となった。ポジションはトップ下。180cmの大型ながら足技が巧みで、大きな体で巧みにボールをキープしながら決定的な仕事をこなす。センターFW、ウイング、ボランチ、あるいはU-16日本代表時代にはセンターバックとして起用されるなど、非常に「芸域」の広い選手という一面もある。情に厚くて涙もろいキャプテンに対して、森重潤也監督は「得点王を狙え」と厳命中。トップ下に置くとボールを動かすことに集中してゴール前に出ていかない傾向があった中島に、より10番らしい「ゴール」を求めてきた。その成果がこの後の試合で出せるかは、そのまま優勝旗を掲げられるかにも直結してきそうだ。 31日の初戦で作陽と対峙し、3-3からのPK戦というギリギリの形で制した流通経済大柏(千葉)には、FC東京内定のMF小川諒也がいる。「ほぼ100%枠に行く」と自ら話す左足のFKは絶品で、チームにとっては貴重な得点源。もう一つの持ち味がスピードで、縦への直線的な突破と激しいアップダウンを苦にしない体力でサイドの主導権を牛耳っていく。本来のポジションは左サイドバックのため、試合の流れによってはそのポジションに下がることもあり、またセンターバックもこなす。さらに、ヘディングの強さを買われ、FWに移ってターゲットマンになることもある。ハッキリとしたストロングポイントを持ちながら戦術的柔軟性もある、大会最強のレフティーだ。