対潜水艦戦、高度な訓練 中国抑止、現場疲弊懸念も 海自ヘリ墜落
伊豆諸島沖で、対潜水艦戦訓練中の海上自衛隊の哨戒ヘリコプターSH60Kが墜落した。 【ひと目でわかる】海自ヘリ2機墜落海域 日本近海での中国潜水艦の脅威が高まり、防衛省は対潜戦の能力向上を重視するが、訓練では追跡する潜水艦の包囲網を敷きながら複数の哨戒ヘリが特定の空域を飛び交うため、接触の危険を伴う。特に夜間訓練は難易度が高い。 一般的な対潜戦訓練では、護衛艦搭載の哨戒ヘリなどが連携して、「敵役」の潜水艦の位置情報を収集して識別、追尾する。今回の事故でも同様の訓練が行われていた。 潜水艦の速度や進行方向などを絞り込むため、機体から海中につり下げるソナーを使用し、ホバリングも行う。海自関係者によると、数十メートルの低高度を飛行することもあるという。 自衛隊では昨年4月に陸自のUH60JAヘリが沖縄県宮古島周辺で墜落し、10人が死亡する事故も発生。対中国抑止を念頭に置いた南西諸島防衛強化に加え、同盟国だけでなく欧州などの同志国との連携により多国間の訓練頻度が増し、現場が疲弊しているのではないかとの懸念もある。 海自トップの酒井良海上幕僚長は訓練増と頻発する事故との関連性について、「大きな観点からの分析はできていないが、明確な相関関係にあるとは思っていない」などと述べた。