スナップエンドウ10年で5割増 調理しやすく面積急伸 収穫の負担も軽く
スナップエンドウの作付けがこの10年で1・5倍と急速に伸びている。販売単価が安定しており、収穫の負担が軽いことで他の作物からの転換が進んでいる。消費面では、えぐ味が少なく、さやごと食べられる上に調理しやすい。弁当の具材としてもニーズを高めている。 【グラフ】スナップエンドウの産地別作付割合 スナップエンドウは、さやと実の両方を食べられる豆類の一種。キヌサヤエンドウよりも肉厚となる。 2020年度までの10年間で作付面積が5割増の614ヘクタール、出荷量が6割増の7170トン。全国で最も多い鹿児島県のJAいぶすきえんどう専門部会では23年度、117ヘクタールと10年間で45%増加。10アール当たり収量は露地でも1・2トン程度に上る。西山昭二部会長は「安定した単価が一番の理由」と指摘する。 スナップエンドウは、冬から春にかけての出回り量が多い時期でも「同700~800円台で堅調」(市場関係者)だ。仮に10アール当たり収量を約1トンで単純計算すると、10アール当たり販売収入は100万円程度に上る。 作付面積が上位の熊本県でも拡大。県経済連が取り扱う面積は同年度、前年度より14%多い35ヘクタール。主産地のJAやつしろでは単価の高い10月から出荷する露地の作型が広がっている。同じく作付けが多い愛知県でも果皮につやのある品種が微増傾向だという。 一方、春から夏に出荷する産地では減少傾向。近年の異常高温で「収量や品質が安定しにくくなっている」(東北の産地)。
弁当“緑”の一角に
「“お弁当の四隅”を彩る緑味の食材として、徐々に浸透してきた」。仲卸の東京促成青果は、消費拡大の経緯をこうみる。筋を取ってゆでるだけで調理が済み、手間が少ない。こうした理由から、日々弁当を作る主婦の支持を獲得。ブロッコリーやホウレンソウなどと“緑味枠を争う”食材として広がったとみる。子ども人気の高さも家庭消費を促した可能性があるとする。 スーパーのサミットは「レシピをインターネットで検索できるようになり、食卓に出る回数が増えた」と分析。1月からユーチューブで「春のサラダフェア」と称してレシピを紹介し、消費拡大に期待する。横浜岡野店では3月ごろまで、季節の野菜コーナーの中で最も目立つ位置に陳列し、購買を促す。(川崎勇)