ミスドが“度重なる値上げ”でも業績が絶好調な理由とは。「カフェとして使える」空間的な魅力に要因があった!?
一方で、筆者が利用者にインタビューしていると、多くの人がミスドの「空間としての魅力」を語ることに気がついた。 とくにコロナ禍以後、街に人流が戻り「リアルな空間の良さ」が見直されてきた側面がある。意外と、ミスド好調の背景には、そんな「場所としての魅力」があるのではないか。以下、そんなミスドの空間の魅力を2つに分けて解説したい。それが、 ①カフェとレストランの中間のような「だらだらいられる空間」 ②「ワクワク」感を演出する商品陳列
だ。 まずは、①である。ミスドはドーナツを食べられる場所だけでなく、「カフェ」のような使われ方もしている。特にSNSを見れば「ミスドでテスト勉強」とか「ミスドで仕事した」なんて投稿が目に入る。 ミスドがカフェ的に利用される背景には、そのサービスの影響が大きい。多くの店舗でコーヒーのおかわりが無料なのだ。ブレンドコーヒー(税込297円)を頼めば、それを何杯でも飲むことができる。 そのため、そこでコーヒーを買って長居をし、勉強や仕事をする人も多い。また、今や作業に欠かせないWi-Fiが付いているのもポイントが高い。
さらに、他のチェーンカフェに比べて、ミスドはテイクアウトの比率が高い。そのため、行列ができていたとしても、店内自体そのものが満席ということはそこまで多くない。勉強や作業をしたい人にとっては、穴場的な存在になっている。 こうした「長居客」は、店の利益にとっては望ましくないと思われるかもしれない。ただ、今見たように、多くの人がテイクアウトで活用する業態だからこそ、店舗に来る客へのサービスを行える側面もあるだろう。
■「だらだらいられる」を可能にする食事メニューたち ミスドの空間を特異なものにしているのは、これだけではない。カフェ的な側面だけでなく、レストラン的な要素も持っているからだ。しかも、そこで長居するのにはちょうどいいメニューが多く提供されている。 私がインタビューした人も、「ミスドはコーヒーが飲めるからいいけど、小腹が空いたら飲茶やドーナツを食べられるのもちょうどいい」と言っていた。作業をしている途中でちょっと小腹が空いたら、ドーナツや麺類を食べて……なんてことができるのだ。