新浪剛史氏、ホンダ日産統合「日本経済動かす」エッセンシャル職時給「賃金高めに設定を」
経済同友会の新浪剛史代表幹事は産経新聞などのインタビューに応じ、2025年は「業界再編の好機」だとして積極的な対応を求めた。 ――基幹産業である自動車業界でホンダと日産自動車が統合に動き出した。M&A(企業の合併・買収)は活発化するか 「(ホンダ・日産は)日本経済を良い意味で動かす出来事だ。国内でしっかり収益を上げて強くならなければ、世界で競争することはできない。(人口減少を踏まえると)今後、業界再編を意識しながら経営することが重要になる。業績が悪くなってからのM&Aではなく、お互い良いものを持っているからやろうという前向きなM&Aを増やすことが、これからの日本経済には不可欠。人手不足で社員が必ず再就職できるというこのタイミングで、業界再編を進めることが必要だ」 ――企業として魅力を高めることも必要になる 「経営者は『デフレが終わった』と認識を変え、人へ投資しながらコア(核)をより強くしていくことを考えなければいけない。積極的な経営ができるかどうかが問われる。2025年に手を打てた企業とそうでない企業とでは、3年後には大きな差が出るだろう」 ――社会生活の維持に不可欠な仕事に従事するエッセンシャルワーカーの賃金を引き上げるべきだと主張している 「実はエッセンシャルワーカーの平均賃金(時給)は1800円程度で結構高い。それでも集まらず、工事がストップしたりしている。高齢化の進展で介護従事者をもっと増やさなければならない。エッセンシャルワーカーの範囲は議論する必要があるが、認定して賃金を高めに設定するなど目指す像を作らなければ社会が回らなくなる」 ――経済活性化にもなる 「(人件費確保のため効率化に目が向くようになり)介護にロボットを活用するなど新しい技術の導入を考えるはず。そうすると新技術投資が増え、またそれを担うスタートアップ(新興企業)も増える。エッセンシャルワーカーの分野は投資を促進する切り札だ」 新浪剛史
にいなみ・たけし 慶大経卒。1981年三菱商事入社。91年米ハーバード大経営大学院修了。2002年ローソン社長。14年サントリーホールディングス社長。23年4月から経済同友会代表幹事。神奈川県出身。