紅麹による死亡疑い新たに76人、小林製薬が調査-株価は急落
(ブルームバーグ): 小林製薬株は28日、「紅麹(こうじ)」原料を含有する機能性表示食品による健康被害について、新たに76人の死亡例を調査していると発表した。同社による原因究明が進んだことで調査の対象を広げることを決めた結果、当初の発表より可能性がある死亡者の数が拡大したという。
小林製薬の発表資料によると、3月に明らかになったこの問題の原因究明を進めた結果、従来は「プベルル酸」を含む紅麹関連製品を摂取した場合に腎関連疾患を引き起こすと推定していたが、基礎疾患との関連など間接的な機序で入院や死亡などに至る可能性があることが分かってきたと説明。腎関連の疾患の有無のみで関連性を判定することは実態を正確に把握するものでないと考えるに至ったとしている。
こうしたことを受けて、同社は被害状況の把握方法を変更し、死亡との関連性を調査している対象事例の数を公表するに至ったと説明。現状では76件に関して紅麹関連製品との関連性を調査しているとした。
小林製薬の株価は同日、死亡疑いの人数拡大に関する報道を受けて取引終了時間直前に下げ幅を急激に拡大、一時前日比11%安の5016円と3月25日以来の日中下落率を記録した。終値は5223円だった。
小林製薬は今年3月、一部の原料に意図しない成分が含まれているとして、一部の商品の自主回収を発表するとともに、使用中止を呼びかけていた。同成分について同社は、毒性があるとされるプベルル酸の可能性があると明らかにしていた。
同社はこれまで、紅麹原料を使った同社製品の摂取歴のある5人の消費者が死亡していたとしていたが、うち1人については同社製品を摂取していないことが後に判明したと28日に発表した。
厚生労働省の担当者は、調査中の死亡例について小林製薬の報告が遅くなったことは極めて遺憾とコメントした上で、行政処分などについて具体的な検討をしているわけではないと述べた。
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Yuki Furukawa